ケンヤム

密使と番人のケンヤムのレビュー・感想・評価

密使と番人(2017年製作の映画)
4.5
[祝!フィルマークス200本目!]

文法的には、おかしいと思われるかもしれないが
「かつての今を捉えた映画」
のように感じられた。


「映画は時空間芸術である」と誰かが言っていたが、まさにこの映画はそれをやっていると思う。
江戸時代末期、鎖国下にある日本の話なのだけれど、この映画を観ると「今」起こっている出来事のように感じさせられる。
そして、その空間を視覚、聴覚を通して「今」として錯覚してしまう。


密使という過酷な役割を自身の志のために引き受け、泥まみれになる青年の今。
それを追う幕府の役人たちの今。
森に暮らす、愛し合う夫婦の今。


彼らの息遣い。
川の流れる音。
木漏れ日。
ススキのこすれる音。
鳥の鳴き声。
泥まみれの人間たち。


全てが「今」のように感じられる。
しかし、私たちが見ているのは、時代設定的に言っても「かつて」であり、映画である限り画面に映し出される俳優の動きや自然音も全て「かつて」起こったことなのである。


「かつて」起きたことを「今」のように感じることこそ、最高の映画体験なのだと思う。
映画を見ながら思わず深呼吸がしたくなる。
そんな映画は初めてだった。


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200本目がこの映画とか渋い笑
けど。この映画で良かったと心底思える映画だった。

お祝いのメッセージ待ってます。
なんちゃって笑
ケンヤム

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