豊かな時間と実りある時間はちょっと違う。
「ランドシャーク/丘ジョーズの逆襲」
LAND SHARK
2017年アメリカ 80分
豊かだ。
これ見ながら思ったことは、われながら豊かな時間を過ごしてるなあってことでした。実りは何もないけれど。
ミニチュアで作ったサメを合成で見せるだけ
粘土かな?
実物大なのは背ビレだけ
明らかに誰かが背ビレ持って丘を走ってる
その背ビレはくたびれまくり
ドロロンえん魔くんのシャッポじいみたい
水槽内のサメは驚くべきことに動かぬ絵
キャッチコピーは「陸海喰!」
なんという豊かな、贅沢な、無駄な時間なのだろう。
B級とかC級とかZ級っていうレッテルを貼るのが好きじゃない。そんな簡単なひとことで片付けてしまいたくない映画が少なくないから。あえて言うなら本作はB級映画。B級と書いて「べき」と読む、愛すB級(べき)映画だ。
丘ジョーズが、いやランドシャークが、もうどっちでもいいや、その歩く(ように見せてる)ハリボテ(一応開発された兵器)が主人公たちを追うとき、カメラワークは安上がり量産型ホラーなそれで、マイクはサメの青魚吐息を拾う。ハアハア、ハアハアと。決してキキキマママではなく、ちょうど「ミッドナイトクロス」の劇中劇みたいなやつ。とても聞き苦しい。
ハリボテがいる場所は探知機で分かる設定で、ずっと探知機の信号音が聞こえてくるものだから、いつしか劇伴を裏ノリでリズム取ってるように聴こえてくるから耳障りだ。
しかもこの探知機がトンチキで、ほぼゼロ距離にならないと警告音を出さない!鳴ったと思ったら背後か頭上に奴がいる…
サメは銃も撃てないし車も運転できない、完全な兵器にはならないから俺がサメ人間になる!と元も子もないことを言った科学者か研究者かがサメエキスみたいなのを注射すると、モノクロの仮面ライダーアマゾンみたいに変身するのだけど、サメのままのほうがまだ強そうに見えるほど貧弱。命を賭したのに速攻で素手でヤラれる…
なんにも話が進まない時間がやたらある。つまり、多少寝たり中座しても筋を追うのに困らない親切設計だ。似たタイトル「ビーチシャーク」という作品があったけど、八重に織り込まれた突っ込みどころは本作が圧倒的にフカい。
エンドクレジットという名の愛すべき者どものリストを眺めながら、もうちょっとサメ映画に時間を割くことを誓いました。