このレビューはネタバレを含みます
「桜桃の味を忘れてしまうのか」
小津安二郎のように抑制的なカットが多く、映画の印象を緻密にコントロールしている
話の筋がシンプルだからこそ人間と神、現世と死後の世界、倫理、宗教、道徳、様々な要素…
ヒッチハイクじゃないけど他人の車に乗せてもらうって怖い
「いい仕事を紹介する。」って言いながらこのまま静かなところに連れて行かれて殺されるんじゃないかって不安になる。その穴が自分を埋めるためのものか…
循環する生と死 その一部分と一瞬を担う身体
生きることと死ぬことに、一体どんな違いがあるのだろうか
彼らがどうなっていくのか、引き込み、そして押し戻す技法に、われわれと映画の関係が現れる
映画に内在…
とても印象深かった。
単純なシーンでこれだけ長く、自然に飽きさせることなく、見せる技術に驚きました。
会話の内容、間、表情どれも違和感のあるシーンが無かった。
一般的な映画との、レベルの差を感じまし…
人生の諦観はこちらから見れば、随分と投げやりで、なかなか迷惑でもある。
それに死ぬのではなく、生きることが嫌な感じで、そこがまたどうも中途半端でもある。
映画のテンポ感もそこに引き摺られているよう。…
こういう映画の作り方もあるのかと大変勉強になった。
一見すると牧歌的で単調な話に見えるし、物語として欠損している気がするのだけど、その欠落部分に観客自身が身を投げ入れて咀嚼し、自分自身の解を見つけ…
多分監督は思い描くロケ地〈死に場所〉が見つかったんだと思う…。
全ての人に言えることは今見ている世界はほんの一部の現実でしかなく、まだ見ぬ様々な世界を見れば現実は圧倒的に変わる。
それが優しい嘘…
このレビューはネタバレを含みます
はじめて会った人に車の中で、穴の中に入っている私に土をかけてくれとお願いするというのは、なかなかの変態ではと思った。
何故関係性がない人に、自分の死と関わって貰いたいと思うのだろう。孤独だから…
(C)1997 Abbas Kiarostami