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ヴィクトリア女王 最期の秘密のmendeのレビュー・感想・評価

3.9
ジュディ・デンチ演じるヴィクトリア女王があまりに自然。スティーヴン・フリアーズとの相性の良さもあると思うが、棺桶に片足突っ込んだような状態(失礼)からお気に入りができて生き生きするところまで隙がない。
特に大勢の側近たちに意見する場面。大きな声を張るわけでもないのに、さすがの威厳と迫力がある。

女王陛下のお気に入りとして、インド人のムスリムがいたという驚き。女王はイギリス国教会の首長なのに。そのインド人がアブドゥル。女王に謁見したときに「背の高いほうがハンサムだった」という一言で、再度のお呼びがかかる。
無気力だった(でも食欲はあった)女王が、俄然人間らしくなるのがすごい。やっぱり推しの存在は、高齢になっても有効なのだ。

アブドゥルは無欲で純粋に見えるが、もう一人のインド人がいうように「あいつはうまくやった」のだろう。イギリスに支配されたインドとの関係も少し描かれているが、女王ヴィクトリアと下層民アブドゥルの階級差を超えたピュアな関係などありえないのがよく見るとわかる。
でも自分から「辞める」とはいえない女王という孤独な立場からは、アブドゥルは天使のように見えたのかもしれない。
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