No.3228
『対応する官僚の、滑舌と顔色100%悪い説』
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私の愛する父が昨2021年に亡くなりました。
肺の難病でした。特発性のため原因がわかりません。
長年建設現場で働いていたため、恐らく石綿が原因の一つと見ています。
少なくとも、石綿を吸う環境で働いていたことは事実です。
実際にその可能性も主治医から指摘され、精密検査も勧められましたが、
病状は見る見る悪化し、検査を受けること自体が相当の負担となるため、家族でどうするべきか話し合っていたところ、
父からは「もうこれ以上苦しみたくない」と言われ、そのまま闘病2年でひっそりと亡くなりました。
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この映画に出てくる被害者の方たちと同じように、父も酸素吸入器が片時も離せず、発病してからあっという間に外出できなくなり、ベッドから起きられなくなりました。
そのことを思い出しながら、母と本作を家で見ました。
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私は思いました。
もし、父の疾患の原因がアスベストだと特定され、その上で万一、国と争う原告団の一人になっていたら、家族としてどうしていただろう、と。
担当大臣の直接謝罪や直接訪問を受けたとしても、心から許せるだろうか。
許せたかもしれないし、
許せなかったかもしれない。
最期まで苦しみ抜いた父の姿を思い出せばやっぱり許せないし、
だからといって、本作の中でひたすら怒っていた、「市民の会」の代表者・柚岡一禎(ゆおか・かずよし)さんのように、
私たち遺された家族は終生、心から納得できるまで怒り続けなければならないのか。
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でも、やっぱりこれだけは一つだけ言っておきたい。
本編中、呼吸もままならない原告の女性の一人が、鼻から酸素吸入しながら、裁判についてのビラを街頭で配っているシーンがある。
雨の中、レインコートを着ているものの、頭から雫をたらしながら、道行く人にビラを差し出し続ける。
見ているだけで心が辛くなってくる。
この彼女の姿を見て、何も心が動かない閣僚、国会議員、官僚がもしいたら、
立法・行政に携わる人間として適性がないので、ただちに辞めてもらいたい。