かつてアームストロングのドーピング発覚にショックを受けた監督は、ドーピングをして競技に出場し、その検査体制の問題を暴くという試みで、ロシアの反ドーピング機構研究所長にバレないドーピングの手ほどきを受ける。彼らの計画は着々と進むが、その最中、ロシアにおける国家ぐるみのドーピング疑惑が浮上する。
自分たちで実験を行い告発するつもりが、撮影中に発覚した疑惑により、協力者による告発を請け負う形になったという偶然の産物となったドキュメンタリー。反ドーピングの専門家の協力のもと、本気を出してドーピング検査をすり抜けるというバラエティ的なドキドキがある前半から一転、国家によるドーピング隠しという巨大な陰謀の内部告発者に密着するシリアスな後半の落差が、本当に偶然なのかと疑うレベルでよく出来ていて面白い。オーウェルの引用とアニメーションの挟み方も綺麗。ただ、アンチロシアな側面が強いけど、そもそも世界反ドーピング機構が弱すぎて大して機能してないように思うし、ドーピング検査のパイオニアですら検査体制の問題を見抜いているということは、多分他の国でもある程度似たようなことは起きているんだろうな…。
もはや自分の中ではダーティーなイメージしかない近代オリンピックだが、東京オリンピックもまともにやれるのだろうか。
