アズマロルヴァケル

ホーンテッドテンプル 顔のない男の記録のアズマロルヴァケルのレビュー・感想・評価

2.8
どこか抜けてる自業自得系ホラー

・あらすじ

リョウ教授と通訳者として雇われたイットクカズノリという男性が警察病院とみられる場所で車椅子に乗せられた妙な男性と対話をしていた。そして机に置かれていたパソコンにはケイトという女性のビデオカメラの映像が流れていた。どうやらリョウ教授はそのケイトという女性がどうなったかを知りたいらしい。

話は前にさかのぼり、ケイト、ケイトの恋人のジェイムズ、そしてケイトの幼馴染のクリスが日本にやって来た。ケイトは大学で宗教学を学んでいるために神社や寺院を巡りつつレポートを書こうと日本にやって来て、東京にいるジェイムズに会った共に案内役にクリスを同行させたのだ。そんな3人は骨董品店に行って古い日記を発見する。彼らはその古い日記を買おうとするが、店主がどうしても譲ってくれない。夜にどうしても欲しいクリスがこっそり骨董品店を訪ねると、店内には9歳ほどの少年がおり、その少年が古い日記を渡してくれたのだった。

クリスが古い日記に書かれていた寺院の居場所を突き止めたところで3人は寺院の近くの村に行き、その寺院へと足を運ぶのであったが…

・感想

全編観てて思った結論としてはこの映画を有名な映画ライターに良くも悪くも叩かれて欲しい映画です。むしろキャストやスタッフや製作会社とかは豪華なのにここまでヤバイもの作っていいの?というのが私の意見です。

話としては骨董品店にたまたまあったヤバイ書物をきっかけに若者3人がヤバイ場所に行ってヒドイめに遭うというもので、結構日本のホラー映画を参考にシナリオを書いてそうな印象はありました。

内容としてはクリス、ケイト、ジェイムズが東京都内の眠らない街でうどんをすすったりファミリーマート?で散策したり居酒屋で呑んだり、また栃木のクラブで女を口説いたりとフレンドリーな外国人が日本を楽しんでる様が見受けられるんだけど、ホラー要素があるとなると…
ゴミ置き場から出てきた乞食のお婆ちゃん(あみだババアにも見える?)。栃木の眠らない街で徘徊する虎無僧、ジェイムズとケイトが民宿でセックス中に覗く謎の人物、極めつけは半孤半人の女が合体した怪物、そして昭和43年に行方不明になった少年少女たちの亡霊、更には同年に殺された修行僧の霊…と色々ホラー要素があったけど実際は前半は結局雰囲気作りで後半ラストぐらいに出てくる亡霊らがメイン。なのでそんなに雰囲気づくりでやらなくてもと思った。

褒めるところとしたら、クリスが幽霊であるはずの9歳の少年セイタと共にしているところで話が本格的に動き出すあたりだろうか。オチは読めるし、ケイトとジェイムズがクリスを見て「あれ、側に誰もいないのに誰と話してるんだろう?」ってならないのがあれだけどまあまあ楽しめる。いかんせんクリスが予告編からしてもう傷だらけの重傷で生き残ってる点もオチが読めるけど、セイタが幽霊に気がつかなかったクリスが混乱したところはまあ良かった。

他に褒めるところと言えば、半人半孤の怪物がジェイムズに襲いかかるシーンがあるんだけど、そのときの怪物の造形がまあ素晴らしい!フィギュアにして飾りたいぐらい良く出来ていて、B級なのかA級なのか?怪物の登場シーンがもっとあればなぁとは思った。

けど、冒頭で黒川芽以が捜査中の警察官役だったのですが、黒川芽以のその後は描いておらず…クリスに殺されそうになった通訳者役の内田朝陽さんのその後も描いておらず…

また、クリス、ケイト、ジェイムズの関係性がかなり悪い。スリラー映画「デッド・オア・リベンジ」に似た構造なのだけど、寺院で起きたオカルトホラーよりも逆にあの三角関係だけでも美味しい映画が出来そうなぐらいだった。

で、肝心のダメなところはラストの種明かしが全然成立していない。ラストでセイタが幽霊だよというの種明かしは分かった。クリスがセイタと仲良くなったから錯乱するのは理解できる。しかし、リョウ教授がクリスにある疑いをかけていて、リョウ教授がクリスの心理状態を確かめる為に来たんだなぁと思ったけど、
果たしてセイタがクリスをマインドコントロールしたの?それとも三角関係が原因?となると具体的な答えを描いてないから訳が分からない。

他を挙げるとするならば、クリスとケイトの末路を交互にまわりくどく長く見せるところもバランスが悪い。何故か東映さんが関わっていたり脚本が「ブレア・ウィッチ」のサイモン・バレットさんだけに残念な一作。