垂直落下式サミング

カテキョのセンセ。の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

カテキョのセンセ。(2017年製作の映画)
4.5
予想外によかった。いい映画だと思う。
車椅子生活をしているカメラが趣味の引きこもりが、窓の外からきこえる女のヒールの音に、思わずシャッターを切ると、そこにいたのはきみと歩実!なんたる奇跡。何かが好転していく予感しかしない!
まずもって、田舎の盆地のなかにある住宅地というロケーションが、すごくよかったと思う。家に閉じ籠ってる青年が窓の外をみるも、雪を被った山が町を囲いこむように遠くそびえていて、部屋の中ならそれなりに、外側ならばなおのこと、大きな精神的な抑圧があるかのような青年が見る世界の閉塞をよく表していた。
きみと歩実のファーストショットで心を掴まれちゃった。どんな服着てても、肉付きのムッチムチ具合が想像できる恵体で、男好きするショートボブと狸顔のコンボが、クッソ可愛い。
気持ちの良い日の光が差す太鼓橋の上を、小気味よくヒールでスキップして、すっ転ぶ様子は本当に近所に天使がやってきたみたいだし、よくつまづく理由はあとで回収される。
彼女の演技は素の性格の明るさが出てて、AVのドキュメントチックな撮影ではみせられない魅力に悩殺必死。「あの写真みせてよ。」「盗撮で訴えちゃおっかな。」こんなこと言われたら童貞は、言われるがままするしかないの。英語どころか一言も口に出せないのに。
彼女が写真の現像室に入って、青年が自分を撮った一枚を手に取ると、その壁には聖母マリアの絵が張ってある。示唆的というか、ベタだけど、このテのエロ映画で小物にまで気を配って撮ってるのがわかると、本気度が伝わってきて背筋が延びちゃいますね。
肝心のヒロインも超かわいく撮れてる。エロいっす。ありがとうございます。歩実ちゃんのセックスシーンは、回数こそ少ないものの、濃密で、えちえちで、すっげーよかった。ふう、大満足。妄想セックスシーンには、おっパブみたいな照明を使ったり、やたら凝ってて目が楽しい。
特に、二回目の本番セックスシーンが好き。キスしてから胸をもんで乳首吸う流れとか、優しい世界のラブラブエッチすぎて、ずっとみていたいくらい。相手を受け入れて、自分も受け入れられている。そんな喜び。弦楽器の音色と柔らかい照明のなかでふたりが交わっている様子は、鬱屈した魂が救われていく瞬間を切り取っているような温かさで描いていて、これみちゃったらただパコる普通の映像で満足できなくなりそう。
さらには背中越し添い寝も炸裂。ここで、もう一度マリア様の写真がインサートされる。閉じ籠った赤い暗室(つまりは子宮)から、青年はもう一度生まれなおすことで、自分の人生をいきるちからを獲得していくのである。
家族模様も、短い尺でもそれなりに踏み込んで描いていて、軽いコミカルタッチながらも、人の善性と生命力を信じているストーリーに好感を持った。
閉じ籠ったり、不貞したり、不倫したり、病気だったり、障害があったり、正しくなくて健常でないそんなあなたの隣にいる人を、いっちょ心から愛てみしましょう。そんなかけがえのないことを言ってる。
暇潰し程度だったのに予想の数倍よかったから、アマプラの視聴履歴消し忘れて焦った。ピンク映画も頑張ってんだね。すげえ意識高い映画だと思う。