Tラモーン

狼/男たちの挽歌・最終章のTラモーンのレビュー・感想・評価

狼/男たちの挽歌・最終章(1989年製作の映画)
3.8
バチクソのガンアクションが観たい!そんな夜はジョン・ウーですよね。


悪人だけをターゲットにする殺し屋ジョン(チョウ・ユンファ)は足を洗う前の最後と請け負った仕事で、銃撃戦に巻き込まれたクラブ歌手のジェニー(サリー・イップ)を失明させてしまう。責任を感じたジョンは彼女の身を案じつつ、治療費を稼ぐためもう一度組織からの殺しの依頼を引き受ける。しかし、その事件をきっかけに刑事のリー(ダニー・リー)と、組織からも追われる身となってしまう。


相変わらずのハードなガンアクションと、大量の爆薬と血糊、そして2丁拳銃のチョウ・ユンファ。『男たちの挽歌』シリーズとは無関係って言われたってやっぱり、ジョン・ウー×チョウ・ユンファになるとこうなるのねという安心感。

本作のチョウ・ユンファはおちゃらけゼロのせいか決して劇団ひとりには見えない(気がする)。
冒頭の仕事からいきなり10人近くをぶっ殺すのに100発くらいの銃弾の雨。そして一切の出し惜しみをしないジョン・ウー印の背中で滑りながらの2丁拳銃。

銃撃戦に巻き込まれて失明してしまうジェニーを演じたサリー・イップが美人さん。
盲目になった彼女を守るためジョンがチンピラをボコボコにするシーン、ドラム缶投げつけるとこ完全にやり過ぎてて笑った。

組織と警察両方から追われるきっかけになる麻薬王暗殺の仕事もカッケーのよね。老紳士に変装して、祭りの喧騒に紛れて会場から狙撃って、くぅ〜っ。
これまた銃撃戦に巻き込まれてしまう子どものために命張るとこも素敵。あの子はさすがに可哀想だったけど…。悪人しか殺してこなかった彼だからこそ、自分の仕事を罪とわかっている彼だからこそ、無関係の人を傷つけてしまった葛藤は大きい。

"ただの殺し屋と違い冷静で頭がいい。優しさと思いやりがある"

ジョンを追うリー刑事も優秀ながら、一匹狼な性格故、警察組織から疎まれ、単なる犯罪者とは違うジョンに惹きつけられていく。

そんなリー×ジョンの友情の芽生えと、組織によって引き裂かれるフォン×ジョンの友情の行方もなかなかのコッテリドラマ。

"友達との約束は死んでも果たす"
"友達の間に貸し借りはない"
"殺し屋に仁義はあるのか?"

フォン(チョウ・コン)が決死の覚悟でジョンとの約束を果たしに行くシーンの強烈なリンチと、リーとジョンが友情や仁義について語り合うシーンを交互に見せるあたりは切なさでお腹いっばい。

"俺たちは時代遅れだが犬のように殺されたくない。だけど弾丸が残ってないんだ"
"あるよ、ここに"

悲壮感漂う友情ドラマをギュウギュウに詰め込んでからのド派手な銃撃戦。何人死んでんだよこれ。マリア像が砕け散るとこ、これやりたかったんよ〜‼︎って感じなのがビシビシ伝わってきた笑。

その前のジョンのセーフハウスでの銃撃戦も凄いのよね。ジョンの白スーツと、敵の白ジャージと鮮血がよく映える。

ラストの「よくそこで撃ってくれた!」感。

火薬と血の匂いが立ち込める中、しょっぱい涙が頬を伝うようなこの感覚はジョン・ウーの必殺技でございます。
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