家族は、いっしょにいるべきであるし、そう願うだろう。
国籍も、性別も、貧富の差があっても、生きてきた道筋が違っても、それは同じはずで。
海外から難民申請して入国しようとする人々の、その願いを叶えられないなにかが、この国にはある。
主人公一家の長男・カウンくんが、自分の意思に反して日本を離れなくてはいけなくなった時、学校でのお別れ会でさよならの挨拶が声にならなかったこと、ミャンマーに滞在して母ケインさんの病状が回復したら日本に帰れると思っていたのに、その想いが裏切られたと思い涙すること、意を決して家出をして日本に帰ろうとしても、ミャンマーの言葉が分からず空港にさえ辿り着けないこと…
彼がもがく全てのシーンで、哀惜の思いが満ちた。そうだ、このくらいの年頃の子どもには大事な人と離れなくてはいけないことがまだうまく理解できないのだ。
そのことを思い出して。
しかし、そのちょっとした冒険のような家出から帰宅した彼の目には、異国の地でさまざまなことを乗り越えていくであろう逞しさや希望を宿してるように映った。