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ザ・ヴェッセルのyのレビュー・感想・評価

ザ・ヴェッセル(2016年製作の映画)
4.0
かつて46人もの子供たちが津波で亡くなった街。愛されなかったほうの息子であるレオ。子供を作ることを恐れ、常日頃から喪服を着て"客観的な不幸らしさ"を重要視する街の女性らと、息子を一人失いながらもピンクの服を着るレオの母。親友のガブリエルを含め、若者たちは街から出ていく。取り残された者たちの悲しみを表すかのような淡い映像/ぴったりの髭面神父が好みだった。レオの造る何か/生の予感に触発され一時は色を取り戻していく街だが、結局は何かに縋り責任を擦り付けることしかできない民衆に呆れる。一人が不幸な時は皆不幸であれ、という同調圧力的な息苦しさは日本にも通じるところがあると思うが、そこに死生観まで持ち込んでしまったなんとも哀れなコミュニティ。掘り出し物だった。
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