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レイニーデイ・イン・ニューヨークのYYamadaのレビュー・感想・評価

3.2
【恋愛映画のススメ】
レイニーデイ・イン・ニューヨーク
(2019)

◆映画のジャンル:
 ロマンティック・コメディ
◆ロケーション:
 ニューヨーク
◆パートナー(カッコ内は公開時年齢)
♀️: エル・ファニング (21)
♀️: セレーナ・ゴメス (27)
♂️: ティモシー・シャラメ (23)

〈見処〉
①ウディ・アレン監督50作品目は、
 「雨のニューヨーク」!
・『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』は、巨匠ウディ・アレンの監督50作目にあたる、2019年に公開されたロマンティック・コメディ。
・大学生のカップル、ギャツビーとアシュレーは、ニューヨークでロマンチックな週末を過ごそうとしていた。そのきっかけとなったのは、アシュレーが学校の課題で有名な映画監督ローランド・ポラードにマンハッタンでインタビューをするチャンスに恵まれたことだった。
・生粋のニューヨーカーのギャッツビーは、アリゾナ生まれのアシュレーにニューヨークの街を案内するためのさまざまなプランを詰め込む。しかし、その計画は狂い出し、思いもよらないさまざまな出来事が巻き起こってしまう…。
・本作は、当時83歳の巨匠ウディ・アレンが久々に彼の活動拠点ニューヨークを舞台に、ティモシー・シャラメ、エル・ファニング、セレーナ・ゴメスら人気若手俳優たちをキャストに迎え、メガホンをとったロマンティックコメディ。

②難産の公開、ウディ・アレンの終焉?
・アレン監督50作目となる本作は、Amazonスタジオの配給契約に基づき、2017年9月~10月に主要撮影を終えていた。
・しかしながら、2017年に映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインに対するセクシャルハラスメントスキャンダルが勃発した際、アレンはワインスタインに同情的発言をしたとして、#MeToo運動など、女性の権利向上運動の対象にされ、Amazonスタジオは、本作公開を延期。
・その争点となったのは、『カイロの紫のバラ』 (1985)の主演女優で、アレンと内縁の関係にあったミア・ファローが1992年に起こした訴訟(アレンによる当時7歳の養女ディランへの性的虐待を告発。1994年に証拠不十分として裁判は終了)から26年の時を経た2018年に養女ディラン自身がTVインタビューにてアレンを再告発したこと。さらにファローとアレンが内縁関係にあるときに、アレンは彼女のもう一人の養子の韓国人女性(当時21歳)と二股交際し、その後アレンとその女性が結婚していたことが改めてクローズアップされたこと。
・この流れにより、レタ・ガーウィグ、コリン・ファース、ティモシー・シャラメ、セレーナ・ゴメス、レベッカ・ホールらは「アレン作品に出演したことを後悔」「今後彼の作品には出ない」「出演料を慈善団体に寄付」を表明。
・一方、アレンと旧知のダイアン・キートン、アレック・ボールドウィン、スカーレット・ヨハンソンはアレンを擁護するなど、ハリウッドを二分する論争となった。
・このような経緯からAmazonスタジオとの契約は解除され、本作公開まで2年を要することになった。

③結び…本作の見処は?
○: ウディ・アレンが得意とするロマンティック・コメディのテンプレートに沿って、雨のニューヨークが美しく描写されている。
×: 『それでも恋するバルセロナ』(2008)やミッドナイト・イン・パリ(2011)と比較すると、恋に至る描写や美しい画角を描けておらず。軽薄なキャラクター陣に魅力や共感を得られず、旬の若手俳優を演出する力量は枯渇したのではと思えるほど、作品内容は明らかに劣化。
×: 一方のティモシー・シャラメ、セレーナ・ゴメス。低ギャランティを了承し、自ら望んで出演したアレン作品出演に対し、大した見せ場も作れていないなか、自身へのハラスメント被害はなく、またスキャンダルの確定証拠もないなかウディ・アレンを断罪する、彼らの世間への迎合主義にはガッカリする。ウディ・アレンを擁護するつもりもなく、作品評価には本来関係ないながらも、鑑賞してみて気持ちの良いものではない。
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