よしまる

劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ! 願い!!のよしまるのレビュー・感想・評価

3.6

 平成3期の4人目のウルトラマン、ジード。
 の、TVシリーズ終了後の劇場版。

 フィル友さんにはご存じない方がほとんどだと思うので一応書いておくと、光の国から闇落ちした悪いウルトラマンのベリアルというのがおってですね、その息子が主人公ってなかなか攻めた設定。脚本を手がけているのが小説家の乙一。(本名の安達寛高の名義)。

 主人公のリクは、ベリアルの息子と言っても実際には子供ではなく、遺伝子を用いて作られた人工生命体。テレビの特撮ヒーロー(架空の劇中番組ドンシャイン)が好きで、みんなのために命懸けで戦ってるのに、自分は人間ですらなかったという衝撃。
 それでも仲間に支えられウルトラマンとして平和を守るために戦うリク。父ベリアルの強大な力に屈しても、父が闇落ちしたわけを知り許しを与えるのだけれど、父はそれを受け入れることなく散っていく。というのがTV版。

 こんなハードな設定を仕込みつつ、コメディ色満載、特撮はミニチュアにこだわり、昭和ウルトラのエッセンスたっぷりという明るく楽しい作品にしている。こういう作品があるから「ウルトラマン」はやめられないし、50年以上経っていきなり「シン・ウルトラマン」が現れたわけではないということはお伝えしておきたい。

 前置きが長すぎた。今回の劇場版は、マクロスΔやガンダムのオルフェンズ、近日公開のククルスドアンなどを手掛ける根元歳三の脚本。
 監督はテレビのメインと同じ坂本浩一で、仮面ライダーシリーズの時と同じくアクションが主体、女の子を可愛く撮る、は変わらずw
 黒のリクルートスーツで張り切る愛崎モアは長澤まさみの元祖で、むしろモアに〇〇化してほしかった😆

 今回の目玉はなんと言っても前作ウルトラマンオーブからのクレナイガイ、ジャグラーの参戦。昭和のクラシックなヒーローを模したガイとまだ少年なリクの掛け合いは、役者としてのキャリアの差もあって本当に兄弟のように輝いて見える。
 また、新キャラで本仮屋ユイカが登場。新しくリクのお母さん的な存在として劇場版らしいスペシャル感がほどよく演出されていた。
 さらにはウルティメットフォースの登場。これはリク役の濱田龍臣くんが子供時代に出演してジャンボーグAになっていたことに対してのオマージュでもあり、ジード本編でもゼロが重要人物だっただけに嬉しい流れ。
 電王の鬼と同じで、声だけの出演というのはオリジナル性を残しつつ長く愛されることの出来るシステムだ。

 物語としてはやや平凡ではあったけれど、過去作との辻褄合わせ、後付け設定も機能しており、無理にでも歴代のヒーローを登場させとけみたいな安易な作りではないところに好感が持てる。これもまたウルトラのしるし。