がちゃん

愛と希望の街のがちゃんのレビュー・感想・評価

愛と希望の街(1959年製作の映画)
3.3
大島渚の長編デビュー作ともいわれている作品です。

靴磨きで病気がちの母、知的障害児の妹と3人で暮らす中学3年生の少年正夫。

生活は極貧で、飼っている鳩が自分の巣に戻ってくる習性を利用して、同じ鳩を何度も繰り返し売る、詐欺まがいの商売をしていた。

正夫の母は息子が高校に進学するのを願っているが、正夫は就職する気でいる。

ある日、光洋工業という大企業の社長の令嬢京子と知り合った正夫だったが・・・

鳩を繰り返し売るのがそんなに悪いことなのかあというのが、率直な感想だった。制作当時との感覚のズレなんでしょうが。

主人公正夫は、光洋工業の就社試験時の身元調査(これも現代では問題あり)が原因で不合格になってしまう。
そんなに大ごとなのか。

ブルジョア令嬢が、極貧の少年に施しをしているような演出も、あえて大島監督は狙ったのだと思われるが、あまり気持ちがいいものではない。

京子が正夫から買った鳩を、兄の渡辺文雄が撃ち殺すあたりは、
皮肉屋大島の本領発揮。
妹が大事にしていた鳩小屋も叩き潰す。

風俗的に、現代と少しズレを感じるものの、
大島監督のメッセージは読み取ることができる。
松竹大船調を過去のものにした作品だろう。

正夫を演じた藤川弘志という少年。
まっすぐできれいな眼をしてました。
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