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1987、ある闘いの真実のNのレビュー・感想・評価

1987、ある闘いの真実(2017年製作の映画)
3.9
1980年に起きた“光州事件”から7年後の1987年。
ソウルで起きた、ある大学生の死。
この事件を機に軍事政権下で激化していく国民と国との闘いを警察やマスコミ、検察や看守、そして大学生の視点を描いた作品。



チャン・ジュナン監督のインタビューより

「80年と87年は密接につながっている。80年に起きた悲劇を徐々に国民が知るようになり、その悲しみや憤りが凝縮して爆発したのが87年なんです」

「本作を観るうえで『タクシー運転手〜』も役に立ちますが、日本の阪本順治監督が撮った『KT』も重要です。この作品で描かれる事件があった直後から、学生運動が起こるようになってきた。そういった流れを少しずつ知って本作を観ていただければ、より韓国の近代史を深く知ることができるでしょう」

登場人物は当時実在した人物をモデルにして作り上げたが、ヨニだけは「その当時いた、多くの人々の心情を代弁した人物」

“多くの人々”には、劇中のヨニ同様、なにも知らずに“光州事件”のビデオを観て強い衝撃を受けたという監督自身の経験も込められているのだろう。



ヨニが架空の人物で人々の心情の表しだと知って、この作品がまとまった

"金大中拉致事件"を知らず、『KT』を見てから本作を観た方が良かったかも?

金大中事件
1973年8月8日、大韓民国の民主活動家および政治家で、のちに大統領となる金大中が、東京都千代田区のホテルグランドパレスから拉致されて、船で連れ去られた。その後ソウルで軟禁状態に置かれ、5日後にソウル市内の自宅前で発見された事件

詳細
金大中はホテルグランドパレスでの会談終了後、6、7人に襲われ、空部屋だった2210号室に押し込まれた。クロロホルムを嗅がされて意識が朦朧となった後、エレベーターで地下に降ろされ車でパレスホテルから関西方面(神戸市)のアジトに連れてかれた。その後、工作船で神戸港から日本を出国。朦朧とした意識の中「『こちらが大津、あちらが京都』という案内を聞いた」と金大中は証言している。

金大中は「船に乗るとき、足に重りをつけられた」、「海になげこまれそうになった」と後日語っている。しかし事件を察知した日本の海上保安庁のヘリコプターが拉致船を追跡し、照明弾を投下するなどして威嚇したため、日本国政府に拉致の事実が発覚したことを悟った拉致実行犯は、金大中の殺害を断念し釜山まで連行し、ソウル特別市で解放したとされている。

金大中自身、日本のマスコミとのインタビューで、甲板に連れ出され、海に投下されることを覚悟したときに、追跡していた日本のヘリコプターが照明弾を投下したと証言している。

拉致から5日後、金大中はソウルの自宅近くのガソリンスタンドで解放され、自力で自宅に戻った。
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