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マルクス・エンゲルスのさんごのレビュー・感想・評価

マルクス・エンゲルス(2017年製作の映画)
4.2
原題は『The Young Karl Marx』若き日のマルクスを題材に『共産党宣言』執筆までを描いている。

マルクスの後世への影響力は計り知れないが、資本家の息子であり、聡明なエンゲルスの協力が無ければ、あれ程の仕事はできなかったのだろうと思う。
実際、『資本論』全3部の内第2部と第3部はエンゲルスが遺構をもとに書き上げたわけだし、さらに言えば膨大な量の草稿や書簡はまだ纏まっていないかったり、未発見の書類が旧共産圏にあったり、イデオロギーにそぐわない部分が改竄されていたりもして、その膨大な仕事は未完のままとも言える。

マルクスはドイツ人で、フランスに亡命し、イギリスで『資本論』を書いた。
映画でもドイツ語、フランス語、英語で会話するシーンが出てくるがその自然さに流石ヨーロッパの知識人だなとも思うし、演じてる俳優も凄い。

マルクスはとにかく批判した。
徹底的に批判し、同時代の社会主義者であるプルードンやバクーニンを空想的で情緒的だと批判し、徹底的に現実とそこから見える理論を追求した。

資本主義社会の歴史から見出される特性や法則を示したのがマルクス後期の作品『資本論』であり、それは歴史書でもあり理論書でもあった。

一方、若いマルクスが現実への批判とプロレタリアート組織化のためにその時その時の実践で、同時代の社会主義思想を乗り越える為に書いたものが『共産党宣言』だったのかなと映画を見て思った。
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