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不法侵入のMOCOのレビュー・感想・評価

不法侵入(1992年製作の映画)
3.5
「あいつは僕に銃を突きつけたんだぞ。その時しきりに君のことを言っていた。
 あいつは君と愛し合っていると思い込んでいる。あいつにそう思い込ませるようなことを言ったんだろ・・・」

 最初にロス市警のビート(レイ・リオッタ)の異常な性格に気がついた夫のマイケル(カート・ラッセル)は妻のカレン(マデリーン・ストウ)にビートには近付くなと忠告するのですが耳を貸さなかったことでカレンは後々血も凍るほど恐ろしいストーカー行為に巻き込まれ・・・。

 マイケル夫婦は、ある晩強盗に入られ、事件の処理にロス市警のビートとロイのコンビがやって来ます。夫婦は親切なビートに心を許しビートの助言で防犯システムを自宅に導入しセキュリティコードも教えてしまいます。

 夜間のパトロールに付き合わされたマイケルは、ロイが席を外してビートと二人になった時に、自宅に強盗に入った男をたれ込みで捕まえたビートが異常な暴行を男に加えるのを見て恐怖を覚えます。

 帰宅したマイケルは一部始終をカレンに話し、ビートは危険な男と話すのですがカレンは聞き入れることをしませんでした。

 カレンには自分こそがふさわしいと思い込んでいるビートはマイケルの留守にカレンを訪ね、マイケルの事業の邪魔をし、マイケルの車には駐車違反のタイヤロックを掛け、挙げ句の果て何らかの方法でクレジットカードも使えなくします。

 困ったマイケルは市警に苦情を申し立てるのですが身内を庇う市警の態度に呆れて、ビートとコンビを組むロイに相談します。
 ビートの異常な性格に気がついていたロイはビートに「お前はまともじゃない、医者にかかって(頭を)直さなければ駄目だ。そうしないと俺は上司に全部話す」と忠告します。

 その忠告が仇になり、ビートはロイを殺害すると、マイケルの自宅に麻薬を仕込み家宅捜索でマイケルを逮捕させ、市警の乱暴な家宅捜索でボロボロにされた家に一人取り残された傷心のカレンを標的に・・・。

 仮釈放されたマイケルは急いで自宅へ向かいます。
 その頃カレンはビートに体をまさぐられ服を脱がされ唇を奪われ、恐怖に耐えながらビートと両思いの恋人を演じながら・・・。


 ストーカーがテーマの「愛は危険な香り」(レビュー済み)のダイアンレインのような自立した力強い女性、夫の留守に犯罪者を自宅に招き入れてしまう「善き人に悪魔は訪れる」(レビュー済み)のタラジ・P・ヘンソンのようなタフなおばちゃんとは違い、ストーカーに立ち向かって行けそうにない可憐な美しいマデリーン・ストウが「犯されてしまうのではないか」というハラハラした危機感が凄い映画です。この手の映画のヒロインの選択がいかに大切かよくわかるキャスティングです。

 本当に怖いストーカー映画です。ロイに最初からビートが問題を抱えた警察官であることを匂わせる発言をさせることで、ビートは過去に何かを起こしている印象を与える演出が上手く、変質者ビートを演じるレイ・リオッタの演技が圧巻で、変質度が徐々に加速していき、カレンの身を案じてドキドキになってしまうサイコスリラーです。
「観客は自分が安全な場所にいて、しかも最高の恐怖を体験したいと望んでいる」(ヒッチコック)まさしくその通りの映画、ストーカーのレイ・リオッタの変態度が怖すぎる!
 
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