首塔えい

不法侵入の首塔えいのネタバレレビュー・内容・結末

不法侵入(1992年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

防犯対策に協力してくれた頼もしい警官が
美人の人妻を狙うストーカーに変貌した時、
信用を笠に着た陰湿な嫌がらせが金持ち夫妻に迫る!

コーマンやスコセッシの教え子でもある
ジョナサン・カプラン監督によるサイコスリラー。
モロに「ケープ・フィアー」の影響濃厚なのも納得。
コレに限らず、この時期こういうの多かった気がする。
「羊たちの沈黙」以降でもあるし。
そんなわけで、大体何が起こるかは予想しやすい
一昔前のオーソドックスなB級サスペンス感満載だが
ジワジワと異常性を発揮していくレイ・リオッタの熱演と
圧倒的目ヂカラのキモさ・嫌らしさでグイグイ引き込まれる。
ジェームズ・ホーナーの音楽も地味に盛り上げてくれる。

黒人警官の相棒がなんかピートの悪癖を知りつつも
扱いに困っていたっぽいシーンも良かったですね。
基本的には優秀な警官らしく
防犯対策のアドバイスなどの話術も巧みで
パッと見の印象は全然悪くないのがたち悪いところ。
典型的サイコパス気質っぽい。
クレカ周辺の嫌がらせは一体どうやったんだ…?

とはいえ、いくら良くしてくれた警官でも
赤の他人にセキュリティコード確認して貰ったりとか
ズケズケとプールに上がり込んでくる場面とか
もうちょい警戒心持ってよ奥さん!とは思った。
うっかり旦那が家に居ない時間帯までこぼしちゃうし…
演じるマデリーン・ストウが綺麗なので
人妻なのに奪いたい衝動に駆られる
ピートの気持ちも分からなくはない…?(ダメです)

あと、追い詰められる側のクラブマネージャーが
カート・ラッセルってのが凄くこう…他の出演作的に
明らかにレイ・リオッタより強いやろアンタ!
って人なのに、本作ではいざって場面でもビビリがち。
でも、そんな弱い役柄も中々似合ってるんすよね。
最後の最後でようやく本領発揮?してくれてスカッとする。
が、なんとも言えない苦い後味を残していく
ラストの余韻も印象深いですな。

令和の今見るとこの手のは分かりきった事しか
起きないのであまり新鮮味はありませんが
どの場面も演出が的確で、手堅い作りなので
中々楽しめました。

古い額縁画面のジュエルケースDVDで鑑賞。
何度か再販されつつもBD化されてないので
地味にレアな一作。レイ・リオッタのファンなら必見。
改めてご冥福をお祈りします。
首塔えい

首塔えい