まあ

ヒトラーを欺いた黄色い星のまあのネタバレレビュー・内容・結末

ヒトラーを欺いた黄色い星(2017年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ユダヤ人弾圧を経験した4人の人達のインタビュー映像とそれを元にしたドキュメンタリー映画で構成されている作品

実際に経験した人達のインタビューが入っているので、その時を経験した方々の本音や状況を知る事が出来た

ユダヤ人だからという理由だけで、職場まで片道7キロ以上の距離がないとバスを乗る許可が下りなかったらしい
しかもバスを乗る許可証があっても『着席許可とは書いてない』と椅子が空いているのに立たされていたみたい
同じ人間なのに、ユダヤ人だからという理由でこんな差別をする人はどういう気持ちなのだろう
ラジオも自転車もペットも禁止
まだ序盤なのに最初から衝撃を受けた
でも話が進んでいくと、昼間に表を歩けてるだけでも特別だった

多くの人達が収容所へ連行されるのを見て、潜伏し始める人達
潜伏するにはユダヤ人だと言う事を隠したり、ドイツ人の助けが不可欠だった
戦争が加速し、潜伏している本人達だけでなく匿ってくれている人達も食糧難に陥っていた
しかも万が一匿っている事が発覚したら刑務所行きになる
それでも人助けをする人達がいた

ナチスが『この世の悪は全てユダヤ人が原因で全員殺さなければならない』と躍起になっている中、ユダヤ人の中にも自分の両親を助ける代わりにスパイを強要された人もいた(結局スパイしても両親は助けてもらえなかったらしい)
反ナチの自分の両親を裏切るドイツ人の子供も大勢いたらしい
誰が味方か誰が敵かわからず、恐ろしい毎日だったと思う


ドイツ軍の敗北が色濃くなってくる
空襲された市街地の実際の映像が挿入されていて衝撃的だった

ラストで同じ防空壕で過ごしていた女性達が、ソ連兵が来て喜ぶユダヤ人と怯えるドイツ人にハッキリ分かれたのも印象的
同じ防空壕で支え合い、怯えながら乗り越えてきたのに、人種が違うだけで敵か味方か正義か悪か決められてしまう

ソ連兵は潜伏していたユダヤ人発見
ドイツ人だと疑い、ユダヤ人なら誰でも知ってるお祈りを言わせる
無事ユダヤ人だと証明されて抱き合うユダヤ人とソ連兵
ソ連軍にユダヤ人がいるなんて驚きだが、ずっとユダヤ人を隠してなくてはならなかったのに今度はユダヤ人でなければ殺されそうになるなんて


ベルリンでは7000名が潜伏していて1500人しか生還しなかった
それだけ多くの人が収容所に連行されてしまった事実にも胸が痛む

インタビューの中で1人のユダヤ人の人が
『ドイツ人が罪のない人々を何百万人も殺すなんて想像つく?
皆こう答えただろうバカバカしいありえない』
まさかの、虐殺を知ったのは戦後
てっきりガスで殺されているのを知ってて逃げたり隠れたりしていると思ってたけど、知らなかったとは。。。
でも実際身近に起こったとしても、まさかって思ってしまう
罪もなく人を殺すわけ無いと

潜伏して生き残った人が、『私達が大切にしてきたことは助けてくれた人達の話、違うドイツ人もいたって事』と話していた
アジア人や白人や黒人など、〇〇人って括られがち
ドイツ人がユダヤ人を虐殺したってイメージだったけど、ドイツ人にも反ナチとして命をかけてユダヤ人を守ってる人もいたし、ユダヤ人だけどナチス側につかざるを得ない人だっていた

この作品はただナチス酷かった、ドイツ人酷かったって内容というよりは、助けてくれたドイツ人への感謝がいっぱい詰まっていた
勇気ある人達を多くの人に知ってもらい、人を助けるという事に人種は関係ないという事を教えてくれた
まあ

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