こはるびより

こはくのこはるびよりのネタバレレビュー・内容・結末

こはく(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

終盤まで、特に激しい感情の揺れ動きや展開の変化はなく、観ている中でただ生温い、どこか鬱々したような感情が少しずつ蓄積していった。ただその悶々とした気持ちが、クライマックスを観てぱっと弾けた。このもやもやとした気持ちと似たような想いを彼らはずっと背負ってきた。それまでのシーンは、兄弟に共感し、同じ感情でクライマックスを迎えるために必要なものだったのだと納得した。兄の方がより父に対しての喪失感が強いように見えたけれど、弟も「父」というものに対してどう考えればよいか答えが見つかっていないような雰囲気があった。父に再会できた時の兄弟を観て、親の前では誰もが、たとえ大人でもその人の子どもになってしまうものなのだなと感じた。
最後の井浦新さんの、どこかすっきりとした表情が印象的だった。