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ヘレディタリー/継承のnickyのレビュー・感想・評価

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)
3.6
社会の常識として無条件に賛美され神聖化される"家族"や"血縁"を、カルトにまみれたグロくてホラーなものとして描くアリ・アスターやはり凄いな。

結末を知ってから記憶を辿ると "もしかしてあの場面...?" と答えなき登場人物の関係性や感情の歪みを疑うことになる構成が上手い。毒親の連鎖をカルトに紐付けて描けるのは確かに"現代のホラー"かもしれない。
ただ、精神疾患患者が恐怖の概念としてもろに使われているのが結構気になってしまった。その点は次作のミッドサマーの方が少しアップデートされていた気がする。(ミッドサマーはダニーの設定しかり精神疾患患者に対する恐怖の概念0ではないけれど、聖書を守る子どものように、どんな人でも皆が幸せに踊り暮らせるはずの村で近親強姦が行われ、障碍者は表向き神聖化されているが都合よく使役されているだけ、というメタ的な設定もあったと思うので。)

ホラー映画は優生思想との親和性が結構高くて、そこは観る側も自覚的であるべきだと思う。もちろん、作る側にはそれを壊していって欲しい。アリ・アスターの次回作を楽しみにしている。
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