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ヌヌ子の聖★戦~HARAJYUKU STORY~のカントクのレビュー・感想・評価

4.7
メジャーデビューする前に一度ちょい役でキャスティングさせていただいた吉田さんが主演されるという事で公開終了ギリギリ滑り込み鑑賞。

序盤は目がチカチカするくらい原色カラフルな双子コーデだったり、原宿のガヤガヤ感、そしてPV演出でこれでもかと二人の仲の良さ(異色なバディ感)、「これが原宿の可愛い」に繋がるカットを重ねます。

ヌヌ子という二人の愛称で活動して2年、読者モデルという一般人に近い立ち位置だったところに初めてMV撮影の話が舞い込んできたところから作品テイストがガラリと変わります。

はたして二人の仲は一時的な関係だったのか、なんの為に芸能界に身を置くのか、そして自分の存在意義とは?

正直ポップ&スタイリッシュ感のある若者向けのキラキラ映画だと決めつけていたせいか、かなりこの劣等感からの葛藤シーンにいい意味で面食らいました。けっこう抉ってきます。

特にアオイ役の吉田凜音さん。役が馴染み過ぎていた。よくアニメに出てくる喜怒哀楽が激しい猪突猛進型タイプなのですが、演技に見えない演技が素晴らしく、主演女優に相応しいリアルな人物像を熱演されており、不覚にも何度も泣かされました。チクショー!

そして何より説得力のあるバディもの成功条件「この二人でなければ成立しないヌヌ子誕生エピソード」もしっかり描かれており、全く退屈なシーン迎える事なくエンディングを迎えました。

進藤監督、初監督とは思えない。原宿に行ったら二人が存在していてもおかしくないくらい、キャラクターが生きていた。↩︎ここ重要。脇役も然り。

そんな訳でかなり良作映画なのですが、残念の事に観客の第1の目となる窓口、フライヤーが案の定、若者をターゲットにしたポップ盛り盛りな為か、一見さんは入りづらいように見えるところでかなり損をしていると感じました。

何度も言うようですが、後半からは内面にかなり切り込んでいるので大人の鑑賞にも耐える青春映画ならぬ、誰もが抱える悩み、葛藤映画としてもっと評価されていいと思います!

「世界を変える」
バカバカしいけど、むちゃくちゃカッコ良かった。


追伸:見終わってから監督のインタビュー記事を拝見しましたが、オリオンのボーカル久保さんが男だった(演者は女性モデルさん)という衝撃的事実。どうりで何度か「ん?」と違和感が残ったわけだw あとハイジおじさん、タイヨウ君最高。
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