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箱根山のIMAOのレビュー・感想・評価

箱根山(1962年製作の映画)
4.0
高度経済成長期の日本。レジャーブーム、マイカーブームの中で都心から近い箱根のレジャー開発が進んでいる。その中で二軒の老舗旅館がしのぎを削っている。先祖代々続く玉屋と若松家だ。玉屋の若番頭・夫男(加山雄三)は店を盛り上げようとしている。その一方、若松屋の娘・明日子(星由里子)は旅館業を継ぐ気は無いのだが、次第に二人は惹かれあってゆく…

加山雄三と星由里子というと「若大将」シリーズを思い浮かべる人も多いだろうが、コレは立派な文芸作品。若大将シリーズ第一作の『大学の若大将』が1961年で、この作品は1962年となっているが、ほぼ同時進行で作られていただろう。この頃は映画産業真っ盛りで、スターは一年間に何本も掛け持ちしていたはず。
それはともかく、加山雄三の出た文芸作品としては『乱れ雲』と並ぶ傑作ではないだろうか?思えば川島雄三は成瀬巳喜男とも共作しているし、テクニック的にも似たものを感じる。ただ、川島の方がコメディー路線なども得意で、芸幅が広かったとも言える。(もちろん成瀬だって『鶴八鶴次郎』とかあるが)でもこの作品の様に風格ある立派な文芸路線も撮れた…本当に才能のあった人だったんだな〜と今回の川島雄三特集で思い知りました。
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