こちとら毎日を生きることに必死

騙し絵の牙のこちとら毎日を生きることに必死のレビュー・感想・評価

騙し絵の牙(2021年製作の映画)
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LITEの音楽が効いてるのか、とにかく終始テンポがいい。もう日本映画音楽この人たちに任せちゃえばよくない?
手際よい展開のなかで、観てる側をひとところに落ち着かせてくれない価値の反転が連続していく、吉田大八監督真骨頂。

にしても、いつもながら松岡茉優さんが素晴らしい。振る舞いから文学との向き合い方に誠実さを感じさせるから、あの帰結にも納得感がある。大作家相手にも物怖じせずに発言するし、詫びの入れ方もとてもキレイ。父娘のやり取りも互いの信頼が垣間見えてすごく好ましい。それでいてお酒は弱かったり。
うーん、書いてると益々素敵だわ、高野さん!

語りたくなる映画を作らせたら当代随一、吉田大八監督。今後ともよろしくおねがいします。

タバコのメタファーも良かったね。吸う人、吸わない人、煙たがる人、通夜の喫煙所にいる人。