まりぃくりすてぃ

フェイス・ダウンのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

フェイス・ダウン(2015年製作の映画)
1.6
パスポート~砂浜~ラストの唖然、のせつなさはイイ。実在男性から打ち明けられたという実話のそこらへんをこそ描きたくて映画作りしたわけね? だったら、そういうラストから「逆算」してもっと全体に脚色力を発揮しなきゃダメだった。事実と演出と架空とを和(あ)えるのはもちろんカンタンなことじゃないだろうけど、みんなに社会の暗黒を真に訴えるためには広義における面白さがもっともっと必要だよ。それは卓越した演技力だけでもいいんだけど(なかった)。

展開がとにかく退屈。その上、主演男女の外見的インパクトもない。(サミー役メルヴィル・プポーの地味さが埋もれやすさでしかない。“悪人らしからぬ優しさ”を監督としては彼で出したかったというが、例えばライアン・ゴズリングぐらいに地味さがおいしさorセクシーさじゃなきゃね。全然美しくないエルカ役オスーヌ・シュトリ?は、ロマ感も足りない。前髪深くして太アイラインひいてる時だけ一瞬お人形になる程度だった。そんなの女性なら誰でもなれる)。
戦争が嫌いだから戦争シーンを撮るの自体が苦手だったというトリュフォーみたいな人が映画人として正しかったのかどうか私にはわからないが、組織的人身売買やロマ迫害をなくしたいと願った人にしては人身売買組織や暴力をまるで好きみたいに丹念に描いてみたカーレフ監督。
しかし、ピストル奪うプポーの演技は下手くそだった。いっそ、贋金グループのスキンヘッドのいかつい男優がサミー役やったりしてもよかったかも。
教会でみんなして吉幾三調の演歌(聖歌?)唄うところが不気味で面白かったけど、ほかは本当にひたすら退屈で、早く終わってくれないかなとばかり思って観てた。主役サミーがどうして刑務所入りを極度に嫌がるのか、そしてどうしてエルカを好きになったのかが、そもそもちっとも理解できなかった。疲れた。

そういえば、ずっと前に見たイラン映画『バダック』も同じく人身売買を題材にした超冗長な駄作(myオールタイムワースト級)だった。