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キング・オブ・トロール 勇者と山の巨神のMOCOのレビュー・感想・評価

3.0
「お前はこんな森の奥で何を?」(老婆)
「王女を探してる」(エスペン)
「さては伝説通り魔王に拐われたな」
「お伽噺じゃないの?」
「覚えておけ。どんなお伽噺にも必ず真実がある。
 ・・・諦めろ、お前には無理だ」
「見つけなければ、家に帰れないんだ」
「・・・よく聞け、伝説によれば『たった一本の剣が山の魔王の皮膚を貫く』剣の名前はタベジール、遥か昔に恐ろしい沼に失われた。そこには怪物が住むといわれている」


 19世紀のノルウェには、18歳の誕生日までに王女が結婚しないと王女は「畏れの山」のトロールに拐われてしまうという言い伝えがあるのですが、もうすぐ18歳になろうとするキリステン王女は全く結婚に興味がないため、国王はスウェーデンの王子フレデリクを呼び寄せ結婚式を行おうとします。
 結婚に興味がないキリステンにフレデリク王子はあまりにつまらない男のためにキリスティンは馬に乗り城を出てしまいます。

 父親と賢い長男ペル、食いしん坊の次男パールと森で暮らす
エスペンは、馬に乗って疾走する女の子と偶然知り合います。エスペンは家族の食事の材料を買い出しに行った帰り道だったのですが、空腹の彼女に食材を与えてしまい自分は名乗ったのですが、彼女は名前も知らせず森に姿を消しました。

 家に手ぶらで到着したエスペンはことの顛末を話すのですが信じて貰えず「灰をつついていろ(火の番だけをしていろ)」といわれ家族は夕暮れの近い山に狩りに出て行きます。
 留守番のエスペンは火かき棒で火の着いた薪の世話をはじめます。エスペンはこの家では役立たずの厄介者なのです。
 その日はキリステン王女が18歳になった日で「畏れの山」のトロールは言い伝え通り王女を拐うために徘徊を始めます。
 ドスンドスンと大きな足音と地鳴りが始まると、想像力の豊かなエスペンはトロールに立ち向かう自分を想像して火かき棒をブンブンと振り回し、火の粉が散った家の中はあっという間に火の手があがり、一家は家屋を失ってしまいます。

 その頃森の中でキリステン王女はトロールに捕まり恐ろしく深い縦穴の洞窟に閉じ込められてしまいます。

 翌朝帰宅した三人は焼失した家の跡を見て愕然とします。
 エスペンはトロールがやって来たことを話すのですが誰も信じません。

 そこにフレデリク王子が家来と共に現れ「王女を見たものはいないか?王女を連れて帰れば王女と国の半分が貰える・・・」と話して去っていきます。フレデリク王子はエスペンが何かを隠していると感づきます。
 
 父親は僅かに残ったお金をペルとパールに渡し「王女を探して褒美を受けとれ、褒美で家を立て直そう」と話し、エスペンには「二度と戻ってくるな」と冷たく突き放します。

 エスペンが話した馬に乗った女の子、トロールが現れたことは辻褄が会うのですが・・・。

 エスペンは兄達を追いかけパールに受け入れてもらい三人の旅が始まるのですが、道端に落ちている手鏡や兜をいちいち拾うために二人から遅れ、さらに身動きができなくなり困っている老婆を助けたために迷子になってしまいます。
 エスペンは老婆からトロールをやっつける剣が沼に沈んでいる話を教えてもらい、行きたいところを示してくれる不思議な地図をもらいます。

 歩き疲れて腹ペコのペルとパールはかごいっぱいの金色のりんごを見つけ、一つくらいなら分からないだろうと食べ始めると陽気になりあっという間にりんごを食べ尽くしてしまいます。
 すると3人の美女が現れペコとペルを森の奥の豪華な料理の並ぶテーブルに誘い、2人は陽気に食事をはじめます。

 エスペンは森の奥に陽気に入っていく2人の声を追いかけ、落ちていた黄金のりんごをかじると岩の扉が開き森の奥で3人の美女と食事をする2人を見つけテーブルに誘われます。
 りんごを少ししか食べていなかったエスペンは魔女に囲まれ腐った物を食べさせられていることに気がつき、2人にビンタをして目を覚まさせ逃げ出します。

 3人は町のレストランで再びフレデリク王子の一行に出会ってしまい、盗み見されたのか地図を渡せと言われます。
 大乱闘の末逃げ切った3人だったのですが、霧深い森でエスベンははぐれてしまい、ペルとパールはフレデリク王子の一行に捕まってしまいます。

・・・・・・・・・
 前半に時間を使いすぎたのかここまでの展開は普通に面白いのですが、ここからはダイジェストでも観ているかのような流れです。
 沼にすむ怪獣は姿を表さないまま、闘いもなく剣は入手されます。
 パールとフレデリク王子はトロールに捕まり餌食にはならず王女と同じ洞穴にいれられます。
 エスペンとペルは皆を助けに行くのですが、トロールは出掛けており帰ってくるとご就寝です。
 
 5人は洞窟を抜け出すのですが目覚めたトロールは5人を追いかけます。地上に出たところで王女は「トロールは陽の光に弱い」と言い4人は朝陽が近い山頂を目指し、フレデリクは戦いを避けて一人だけ岩の隙間に身を隠します。トロールは4人に追いつき、エスペンはトロールの足をタベジールで切り付けたのですがトロールに振り払われ剣は山から落ちてしまいます「たった一本の剣が山の魔王の皮膚を貫く」と教えられた剣がトロールに振られるのはたった一度なのです。この一撃はトロールの動きを鈍化させるのですがトロールを退治する決め手の道具ではないのには唖然です。
 夜明け前の陽の光はトロールに届かず、エスペンは旅の始まりで拾った手鏡に反射する朝陽をトロールへ向けて・・・。

 トロールはたちまち石に変わり、4人は王宮へと戻ります。
 王女から国王に今回の活躍を紹介されたエスペンは「単なる農民の自分には国を治める力はないです」と王の褒美を断り、家を建て直すわずかなお金を要求し家に帰っていきます。

 エスペンの活躍を知らない父に優しく迎え入れられたエスペンは、褒美のお金を父親に渡し家族で新しい家を建てはじめます。屋根が出来上がる頃、エスペンのところやって来たキリステンは・・・。

 前半のしっかりした作りに比べ後半の作りは残念です。観せたい対象がしぼりきれなかった迷いがあったのかなぁ?
 ・・・でも結構楽しめました。

 トロールの住む山の美しさは目を見晴ものがあり北欧の自然の美しさに浸ることができました。

 映画に出てくる北欧神話のトロールは怪獣怪獣していなくてなんだか夢があり、石になったトロールの造形も魅力がありました。
 このトロールの退治方法を観ていたら大好きな1969年の東映アニメーションの「長靴をはいた猫」の魔王ルシファの退治を観たくなって映画を観返してしまいました。

 めでたしめでたしのエンドロール・・・
 闘いから逃げて一人山を下りたフレデリクは道に迷い、偶然出会った老婆に・・・そうか前半の枝葉のような話はここに繋がっていたのか?うまいね
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