ベルサイユ製麺

KILLERS WITHIN/キラーズ・ウィズインのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

2.9
アイルランド映画…って初めて観るのかも?アイルランドネタの映画はけっこう見かける気がしますけど。

白昼、突然幼い息子を誘拐された母親。身代金を工面するために仲間を頼り、金持ちの屋敷に強盗に入ることになります。黒づくめに武装。それぞれ違うデザインのマスク。お母さん、嫌がっていた割にノリノリに見えちゃうな…。
というところで、この作品のパッケージをパッと見ると、ちょっとスタイリッシュなケイパー物みたいなの想像してしまいますが、肝心なのは右側のコピーと、左の大写しの顔面です。全力でネタバレしてきますね…。
という事で、中盤以降物語はアマチュア武装強盗vs.レプタリアンのサバイバルアクション作品に変容します。『フロム・ダスク・ティル・ドーン』スタイルと言いたいとこですが、前半のドラマが薄味なのであんまり“途中でお話が変わってビックリだよー”って気はしません。
レプタリアンに関しては、ある程度定型的なイメージがあるようで(ネットメディアの“カラパイア”の記事が簡潔で良かったです)、今作もそれに沿った描写になってます。何となくですが、特定の信仰をもつ人々のメタファーのように感じられましたよ。
レプタリアンとのバトルシーンは、銃が効きにくく、かつ超高速移動をする彼らと如何にしても対峙するかというのが一番の見せ場だと思うのですが、特に新しいアイディアとかなんも無かったですね…。彼等がイコ・ウワイスとヤヤン・ルヒアンなら最高だったろうに。

自分はそれなりには楽しめました。80年代の水準ならB級のイマイチ映画といったところなのでしょうが、ある時期以降超大作映画の予算・規模が大きくなりすぎたことによってB級映画のゾーンニングも引き上げられてしまった気がしてます。今の基準なら、単にゴミ映画ぐらいに思われてしまうのかな?勿体無い。
ダラダラと、ながら見したい方にはオススメです。あとイルミナティの方も!




…もう少しスクロールさせたいな☺︎

ちょっと話題になっていた『ヘテロゲニア リンギスティコ ~異種族言語学入門』という漫画、やっと読んだのですが、コレは面白いぞぉ!
駆け出しの言語・コミュニーケーションの研究者が魔界に踏み込み色んな種族の魔物達とコミュニケーションを図る姿を、ほのぼのと描くファンタジー作品です。恐らく『メッセージ』に着想を得たものと思われるのですが、1巻を読んでいる時点では、コミュニケーションの方法を探る事自体が目的になってまして、特になにかを成し遂げるために…とかでは無いようです。個人的にはそこが好きだったりします。
魔物達はリザードマンとかウェアウルフ(この二つの表記法の違い面白いですね)、ハーピーやスライムなど、オールドスクールのファンタジーに則っているのが好感度高いです。“オッド・アイ・サキュバス・ガール”とか言われても勝手にやってろとなります…。
嗅覚や体の向き、体の構造によってコミュニケーション手段が変わる、のみならず、質量や暮らす次元によって思考ロジック自体が変わるという事をニンゲンの考え方で理解する、というアクロバティックで殆ど無理筋と思われる課題に取り組む姿に悲壮感が感じられない事(楽しんでいる事)、それ自体がこの作品の“メッセージ”になっているように感じられます。
対話すべし。仮にその結果憎しみが深まり、命を取られる結果になったとしても、分かり合えないよりはずっと良い。
あ、リザードマンが出るので無理矢理このレビューに盛り込みました。🦎
現在まだ一巻まで。若き研究者の輝かしい功績によって、誰にとっても暮らしやすい世界が創造される様を思い浮かべながら、今後の成り行きを刮目し見守りたいです!
☆4.0です☺︎