MasaichiYaguchi

雨の首ふり坂のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

雨の首ふり坂(2018年製作の映画)
3.4
池波正太郎さんが自らの小説「雨の杖つき坂」を新国劇の島田正吾さんの為に戯曲化したものを、中村梅雀さん主演で映像化した本作では渡世人の世界がハードボイルドタッチに繰り広げられる。
本作は時代劇であるにも拘らず侍が全く登場せず、町民も出てくるとはいえ、物語を牽引するのは博徒たちであり、ある意味、時代劇版「アウトレイジ」と言えると思う。
主人公の白須賀の源七は相棒の藪塚の半蔵と共に殺しを請け負う渡世人として諸国を渡り歩いている。
そんな彼らだが、ある親分殺しを請け負ったことから運命が流転していく。
本作は、この運命の〝分岐点〟から25年後、既に初老となった主人公の有り様と、その後に訪れる皮肉な因縁の物語を浮き彫りにしていく。
この作品は時代劇ではあるが、音楽をEGO-WRAPPINが担当していて時代に縛られないアウトロー物のような風情がある。
皮肉な縁によるアウトローたちの時代劇は、全く異質である筈の「スター・ウォーズ」の物語を彷彿させる。