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ソーシャル・ロマンスのakrutmのレビュー・感想・評価

ソーシャル・ロマンス(2018年製作の映画)
2.8
友人たちはどんどんと身を固めていく中で、恋愛も仕事もうまくいかずに焦燥にかられるアラサー未婚女性や、仕事と家庭の両立がうまくいかずに精神的に悩んでいるアラサー既婚女性を飾らずに描いた、テレサ・ベネット監督の恋愛コメディ映画。元々、TVドラマ製作で活躍していて、映画監督としては本作が初めてのようである。監督自身がアラサー女性ということで、同世代の女性の心情や恋愛模様を、かなりリアルに描こうとしたのではないかと思われる。

でも、正直に言ってつまらなかった。さらに悪いことに、出てくる女性がみんな可愛くない。外見のことだけを言っているのではなく、仕草も、表情も、しゃべり方も、考え方も、かわいくないのである。普通、どこかキュートに思える部分があるはずなのだが、うーん、主役のアラサー独身女性ゾーイ(を演じているノエル・ウェルズ)にどうしても好感が持てない。また、主役の男性ポール(ジョシュ・ラドナー)の妻(を演じるアヤ・キャッシュ)にしても、見ていて何に悩んでいるのかがよくわからないし、全然共感できない。ストーリー自体もあまりメリハリがなく、平坦なままに、むりやりハッピーエンドにしたという感じなのである。女性監督が同世代の女性のリアルをリアルに描いているからなのかもしれないが。

個人的には、ナイスガイっぽい雰囲気が好きなジョシュ・ラドナーを目当てで見たのだが、これじゃあ彼の良さが全然活かせていない。それでも、いい奴オーラを出しているが。そんな中で、太っちょの友人役を演じたフォーチュン・フィームスターがまあ良かったかな。ブロージョブネタとかくだらないけど。さすがにコメディアンだけある。

最後に一言。毎度のことであるが、『ソーシャル・ロマンス』という邦題は、原題に込められている監督の意図が全く無視されていて、恥ずべきレベル。(私もそうだが)誰でもこの邦題を見れば、SNSを絡めたラブロマンスだと思ってしまう。これは原題の「ソーシャル・アニマルズ」の意味を全く理解していない証拠である。理性の動物と言われる人間は、実はいろいろと非合理的な(理性に反する)行動をしていて、そういう女性の行動とか心情が描かれているのが本作。そのことを強調するために「社会性のある動物(獣のほうが意味的に近い)=Social animals」と言っているわけ。そんなこともわからずに、「アニマルズ」だとよくわかんなーいから「ロマンス」にしちゃえばー的な感覚で仕事をされても困る。わからなければ、そのまま「ソーシャル・アニマルズ」としておけばいい。どうせ多くの観客動員を見込むような映画じゃないんだから。これだからいつまでも映画は芸術と見なされないんだよ、日本では。
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