Jiyong

イッショウガイのJiyongのレビュー・感想・評価

イッショウガイ(2017年製作の映画)
4.0
綺麗事でいいのが物語なのよ。綺麗事上等。
冬麻の作品と舞台の構成がリンクされていて良い。演劇好きで映画好きとしては、演劇だからこそできる表現(キャスティング含め)でそれも良かった。あと久々に土屋シオンくんの演技を見られたのも良かったし、彼が代表作と言ってくれてるのも嬉しい。
当事者としては、見てて辛くなって何度も止めようと思ったが、途中離脱は何より辛いので最後まで見た。トランスジェンダーとセクシャリティは全く関係のないものなので、たまたま冬麻がヘテロセクシャルだっただけ、という認知も少しでも広まってくれたらなと思う。(描かないのが悪いわけではない!勿論!)アセクでもゲイでもビアンでも幸せになれるはずです。また、家族との仲が良好になれないトランスジェンダーも多くいる。彼らも1人じゃない、誰か支えてくれる人を見つけて欲しい。その為にLGBTというコミュニティがあるようなものです。
途中まで冬麻(麻友)が価値観や認知の歪んだ人間として描かれているのも非常に良かった。編集の言う被害者ヅラっていうのは自分で自分を差別しているという意味。多角的で良い。

あと、これはヤングケアラーの話でもある。
彼がした決断は障がいを持つ母にとって、また兄にとってどういうものだったのか。それはあえて周りが言及するものではないと思うが。自分の人生を生きることは我儘なことではないというのが持論です。正論だけじゃ冬麻は生きていけなかったんだろう。そんな生ぬるいところで生きてるわけではないから。
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