【偏見と差別を無くす】

「元を取るんだ…」

実際に公演された舞台を映像として見せる舞台映画。

最初の5分くらい劇中の世界に入り込むのに確かに手こずるが、その後15分後くらいにくるクライマックスとも言える印象的なシーンに痺れる。

高校生の麻友の母が脳梗塞で倒れる。兄は仕事で忙しくなかなか介護ができない。麻友には隠してきた秘密があった…

綺麗事でいい、偽善でいい。

マイノリティー（本映画ではFTM）に生きる当事者の想いを綴った舞台。
認めてもらいたい。差別を無くしたい。その理想は時に綺麗事と叩かれる。
発信する大切さの一方で、1人ではなく家族、子供と構成や人数、自分の周りに関係者が増えるたびにたたかれる危険性も増していく。
あまりにも多くの障壁がある中で彼らはどう生き抜いていくべきか。

この映画はマイノリティー者のことを障がい者と（あえて）置き換えている。だからこのイッショウガイには「一生涯」と「一障害」の意味が含まれている。
どんなに時間がかかっても1人でも多くの理解者を増やす…最終的にはそこにしか希望はないのかもしれない。

※限定公開中（10日まで）

2020.5.9

• #kiritoの2018年公開映画
• #kirito2020
• #kiritoとLGBT関連映画♪

ある日、母が倒れ、脳に障害を残してしまう。高校生のマユの人生に大きな変化が訪れる。LGBTを題材に取り入れた、実話に基づく舞台劇の映像作。LGBTを題材に描かれながら、仕事や家族、友人、そして恋人と、人生を色濃く描いた作品。LGBTを徹底した軸に置いていない点もよく、偏見や差別感ではない、個性として描き、マユ自身の様々な感情が滲み出た人生模様が描かれているのが良い。舞台劇ながらの演出、場面転換のスイッチ感が絶妙で、タイトルを出す際の演出は物語に一気に引き込まれます。舞台ながらの面白さ、作り込みがあります。認知症となった母親の描き方、主人公との関わり方も良い。

差別・偏見をテーマとした舞台『イッショウガイ』をカメラに収めた映像作品。変わり果ててしまった母の姿に戸惑う女子高生の麻友と、人生の元を取りたいという一心で、自分のすべてを原稿にぶつける作家・冬麻。並行して描かれる麻友と冬麻の告白、演劇しかできないその臨場感と熱量に震える30分越しのタイトルバック！回想と現実とが同じ空間で展開されるのは演劇ならではの面白さだと思う。入れ子構造を越えて虚構と現実が入り混じる構成は演劇的であって、同時に映画的でもある。
差別を変えられない現実として突き付けて、「LGBTという言葉が広まって欲しくない」とまで言うタカさん。介護ストレスもトランスジェンダーも、当事者の気持ちはどうやっても分からないけれど、そういう視点もあるのかと勉強になった。映画として観ても面白かったけど、これ、現場で観たほうが絶対に面白かっただろうなあ。早く演劇を観に行けるような状況になるといいなあ。