Jonayama

オーヴァーロードのJonayamaのレビュー・感想・評価

オーヴァーロード(2018年製作の映画)
4.4
J.J.エイブラムスが制作に携わったアメリカのアクションホラー映画。

1944年、ノルマンディー上陸作戦の"Dデイ"前日。
ナチスドイツが近隣の村にある教会に設置した電波妨害塔を破壊すべく空挺部隊が送り込まれる。
陸地からの激しい迎撃に遭い多くの兵や航空機を失いつつもなんとか降下に成功したボイス上等兵やフォード伍長らは合流した仲間と共に塔のある村に辿り着く。
数で圧倒的に不利な状況の中、彼らは教会へ潜入する方法を探るがそこではナチスが行うある実験が産み出した恐ろしい存在が隠されていた。



…文才が無いせいかあらすじを書いていてすごくB急臭い印象になってしまったが本作は戦争映画とホラー映画というやや珍しい組み合わせをハイクオリティな技法で仕上げた異色な作品であり、B級映画のようなプロットなのにA級クラスの完成度と見応えを提供してくれる意表をつかれた良作だ。
2時間弱の上映時間全体を通して殆どが恐ろしいシーンか息を殺すような緊張感のあるシーンなのと苛烈な描写がなかなか目立つ作風なので入り込んで観ているとなかなか疲れる作品だが同時にホラー好きには最高に充実した時間を過ごせるとも言えるだろう。


監督のジュリアス・エイヴァリーは自分の勉強不足で馴染みのない方なのだがカット割や演出にとてもセンスを感じる手腕を発揮していて驚いた!B級な筋書きをここまで説得力のある魅せ方で映画にできるとは…
冒頭20分余りの『プライベート・ライアン』を思わせる過酷な戦場の描写や終盤のワンカットで見せるボイス脱出シーンなどは個人的にかなり印象に残った。

俳優陣はややマイナーな印象だがさすがに皆とてもいい味を出していて、特に部隊も物語もリードしていくワイアット・ラッセル(カート・ラッセルの息子さん!お父さんにそっくりw)演じるフォード伍長が恐ろしくもカッコ良すぎる。善良で勇気ある主人公のボイス上等兵も良いが見せ場はかなり伍長が持っていってたな(笑)
あとポールくんを演じた子役がかわいすぎる。

また、『ゲーム・オブ・スローンズ』好きとしては敵役ワフナー大尉を演じたピルー・アスベック(髭がないので気づきにくいがユーロン・グレイジョイ役!)や無慈悲な退場をしてしまうドーソン上等兵役のジェイコブ・アンダーソン(こっちは一目でわかるグレイワーム役)が出演していて嬉しい。
"ついてない"レンシン軍曹はファーゴのシーズン2などでお見かけしていたのを思い出した。


おぞましい実験体の描写もかなりどギツいがなかなかのデザインで願わくばこの製作陣でもっと異色なホラー映画を作ってほしいと思えるような出来だった。
いくらかのグロや暴力描写が大丈夫なホラー好きにぜひおすすめしたい作品だ。




そういえばクロエがやたら銃の扱い上手いけど従軍経験ありの設定だったのかしら?
Jonayama

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