灯火

夢の涯てまでもの灯火のレビュー・感想・評価

夢の涯てまでも(1991年製作の映画)
4.6
DC版で視聴。5時間は通してみるにはかなり長いが、このボリュームがなければこの映画は究極のロードムービー、叙事詩にはなり得なかったと思う。

前半2時間半は80s後半ぽい雰囲気と近未来が合わさったような不思議な世界観で描かれるロードムービー。ここのパートがとにかくよい。彼女は彼女の中の幻想を追う。その精神こそがロードムービーだよね。特にロマンスカーや箱根のシーンが素敵。日本人だからかな。

中盤2時間、SF的な世界観と終末期、それと対比されるような美しい共同体社会、音楽、踊り、火を囲む人々。前半で描かれていた関係性が崩れて調和に向かっていく感じ。この、それぞれが請け負っていた仮面が剥がれて、人間対人間の関係性として、純化されていく感じがとても良い。追う者も、追われる者も、音楽を前に皆同じ。

ラスト1時間は夢(過去)に囚われるクレア。映像に囚われたクレアをコトバで救うのは皮肉かね。5時間の終盤に差し掛かってこの洗脳されるような荒い映像はちょっときついね。ラストシーンは気の利いた感じね。

そういえば最初の1、2時間のところで定期的に流れる、久石譲のキッズリターンでサンプリングされてるあの声、あれなんなのかめっちゃ気になる…
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