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夢の涯てまでものsonozyのレビュー・感想・評価

夢の涯てまでも(1991年製作の映画)
5.0
1991年、ヴィム・ヴェンダース監督。独米日仏豪 合作。
視力、映像、見ることの将来について空想を巡らせてきたという監督が13年に渡って暖めてきた生涯をかけた企画。

レンタルも輸入盤以外のセルもなく、中古のLDを安く入手していたものをやっと見れました。(国会図書館に行って見るか悩みつつ)

LDは劇場公開より長いディレクターズカット版という事で181分という長さでしたが、ドイツ語DVD(字幕もドイツ語)だと約280分!のディレクターズカット版も存在するようです。

1999年 インドの核衛星が軌道から飛び出しどこに落ちるのか全世界がおののいていた頃という設定。
日々、悪夢にうなされていたクレア(ソルヴェーグ・ドマルタン)は、車のナビを無視して渋滞の道路を外れナビが機能しない道を一人走らせる。

アホな男二人 レイモンとチコが運転する車と事故になり、何とか動く方の車で3人でモーテルへ向かうと、その二人は銀行強盗で大金を持っていた。

その金のパリまでの運び屋を任されたクレア。公衆電話で隣りにいたトレヴァー(ウィリアム・ハート)と出会う。
オパール泥棒で男に追われていたトレヴァーと二人、車を走らせ、パリで一旦別れるが、トレヴァーはクレアが運ぶ大金の一部を抜き取っていた。

クレアは、3ヶ月ぶりに元カレのユージーン(サム・ニール)の部屋を訪れ、ユージーンはよりを戻そうとするが、クレアはトレヴァーが気になる&金を取り戻すべく、再び旅に出る。。

トレヴァーを追うクレアをユージーンや探偵のウィンター(リュディガー・フォーグラー)が追うロードムービー的な前半。
ヴェネチア、パリ、リスボン、ベルリン、モスクワ、北京、東京、サンフランシスコ..と世界をたどるストーリー。

後半は、トレヴァーとクレア、そして追うメンバー達が、オーストラリアで放射能汚染の恐怖を感じながら暮らす、トレヴァーの盲目の母エディス(ジャンヌ・モロー)と、人間の記憶や夢を他人の脳に転送する研究を続けている父ヘンリー(マックス・フォン・シドー)の元へ向かう、近未来的な展開へ。

日本のシーンでは、今はない青山の「こどもの城」や、カプセルホテル、そしてトレヴァーの目を治す漢方医の達人的な役割で笠智衆も登場します。

ケータイは出てきませんが、公衆電話がTV電話だったり、「熊のマークのお尋ね者データバンク」という人物追跡ネットサービスが出てきたり、放射能汚染を調べるガイガーカウンター的なもの、再現された夢を見る小型端末など、ガジェット系にも注目です。

U2のタイトル曲"Until The End of the World"も良かったですが、カメルーンのピグミー族の子供達の歌が出てきたり、後半はオーストラリアのアボリジニらしき人たちが重要な役割を担ったり、いろんな要素が楽しめました。

苦労してやっと見れたことも含め、満点で。笑;
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