もものけ

悪魔の棲む家のもものけのネタバレレビュー・内容・結末

悪魔の棲む家(1979年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

いわくつきの物件は、安いからと飛びつかないほうがいいのねぇ〜……。

田舎町アミティヴィルで、格安のいわくつき物件を購入したジョージとキャシーは、幸せな新婚生活を子供たちと始めるのだった。
しかし、その家は過去に長男が一家皆殺しにした恐ろしい家で、次第にジョージは、何かに蝕まれ始めるのだった…。


感想。
アメリカでは有名なアミティヴィル事件の映画化で、様々な作品へネタと構図を影響させるパイオニア的オカルトホラーで、何度となくリメイクや続編まで作られる人気作品です。

家がおこす怪現象。
殺人犯のサスペンス捜査。
神と悪魔の闘い。
ノイローゼによる精神障害。
様々な要素を入れて上手く構成してますが、あまりに様々入れすぎて尺の長さから説明しきれなくなり、一家が逃げ出すオチで終わるという消化不良を起こしていますが、音楽や演技などで恐怖演出が上手くなされていて、ホラー初心者向けのゾゾッとするエンターテイメント作品でした。
確かに地味な作品なので、ホラー映画としては物足りなさを感じるところはあります。

トイレの深淵のような真っ黒な液体が流れるシーンが、とても悪魔的で子供時代の私はトイレに行けなくなりました(笑)

何度も移される人の顔に見える家の構図をネガを反転させたり、ボカシや赤い色で表現したりで、美しい景色のはずが、不安にさせる演出は好きでした。

次第に表情がおかしくなるジョージの風貌が、ホラー的よさをかもしだしております。
そして、ニュースペーパーの長男の写真とリンクしたシーンは、サスペンス映画としてもゾッとさせる名シーンではないでしょうか。
ボサボサの黒髪に、漆黒の髭という悪魔的風貌は、当時トラウマになった子供時代を思い出します。

悪魔を信じない教会と反発する神父が、なにもできないまま廃人になってしまったり、腑に落ちなく独自に捜査する刑事の存在など、伏線を上手く張ってサスペンス映画としてもよかったのですが、やはり尺の短さで回収できずに終わるのは残念でした。

この新婚夫婦が、連れ子での再婚というのが、旦那のストレスへの要因となり、背伸びして購入した新居や、起動に乗らない事業へ金銭への不安などでノイローゼになり、一家を惨殺するという心理サスペンスホラーとしての上手い下地があるだけに、勿体ない感じがします。
一家惨殺をしてオチで精神錯乱だったのか、悪魔の憑依によるものだったのか、というラストで締めくくってくれれば、ワタシ的には名作となったかもしれません。

スーパーマンのヒロイン マーゴット・キダーの美しさと絶叫演技が、華を添えているだけに…。

とはいえ、パイオニアとしてそれ以降の作品への影響を与えた作りはなかなかよかったので、3点を付けさせていただきました。

個人的には、2005年にリメイクされた作品が好みでした。
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