ベルサイユ製麺

振り向いたらそこにのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

振り向いたらそこに(2016年製作の映画)
2.6
台北のメトロ駅が有る街を舞台にした作品群の一本。(←説明を少しづつ短くしています)


冒頭、紙芝居タッチのイラストで語られるのは…

”その昔オデュッセウスは、10年に及ぶトロイア戦争からの帰路で様々な災難に遭うも、王位と妻を狙う悪人を倒して無事に家族と再開できました。その後彼の偉業は語り継がれています”…のだそうだ。


コーヒーを美味く淹れるのだけが取り柄の、貧乏なブ男シャンハイ。現在足掛け9年掛けて、オデュッセウスの物語の自主映画を撮っている。
結婚式場のカメラマンのアルバイトをしていて、たまたま見かけた“ブライズメイド”の女性シァオシェンに一目惚れする。
金持ちだが傲慢でヤリチンの彼氏と別れたシァオシェンに、美味しいコーヒーで猛アタック!



正真正銘、なんてこたぁねぇラブコメディです!観た限りで言えば“台北メトロシリーズ”中で一番作風が一般的で、言い方を変えると一番琴線に触れにくい作品かも…。全体的に90’sジャパニーズコメディドラマみたいな雰囲気です。

シャンハイはヒョロ小さくて深海の生き物みたいなルックス。貧乏で不衛生な生活をしていますね。シャオシェンは…麻生久美子の骨密度を限界まで上げたような雰囲気。
…なんか上手く言えないのですが、この手の“美女と野獣”型の設定…もう無理じゃないですか?
例えば逆のパターン、《美男にアタックする、一般的に評価されやすいルックスの良さに恵まれていない貧乏で不潔な女性》の物語って、多分作れないですよね。男女の設定入れ替えたら問題がありそうな話なんて、もう作らないほうが良いのだと思います。もちろん、コメディでは無くて社会的意義の有る問いかけがあるようなケースは別。
シャンハイがどのようにシャオシェンにアタックしていくかというと…ひたすら待ち伏せ、後をつけ、コーヒーを飲ませます。完全なるストーカー!これも…もうダメだな。過程がダメなら全部ダメ。げんなり…。
紆余曲折あり、シャンハイはシャオシェンとその親友が住む家を間借りして暮らし始めます。なんとか一線を越えたいシャンハイに、職場の先輩が授けた策は…“壁ドン”!発音も日本式で“カベドン”でした!ホント結構日本文化入っちゃってますね…。で、いざ壁ドンでアタックして、強引に押し切ったところ満更でも無かったらしく、なるようになっちゃいます!…完全アウトだよ。真似するバカ居たらどうするのよ。
前半はまあこんな感じ。

…この後の展開は更に極めつけの酷さを見せつけます。細かくは書きませんが…妊娠を巡るネタを書くのなら、避妊をしたか否かには絶対触れないといけないと思いますがね。
…そんな焦点のボヤけぶりは最後まで解消されず、画面で微笑む人達をどんな気持ちで眺めれば良いのか釈然としないまま映画の幕は閉じます。…あっそ。
うー。これはこれまで観たメトロシリーズの中では一番ピンと来なかったですね。因みに今作は忠孝復興駅という駅が舞台になっているようですが、…普通の駅だし、あんまり土地そのものには必然性無かったですね。ものものしい駅名ですが、調べた限りは由来は分かりませんでした。

気になった点を幾つか挙げておしまいにします。
⚫︎同シリーズ『ハロー、グッドバイ。』のテレサ・デイリーちゃん演じる小捷が出ます。リンクしてます。こういうのは楽しい。
⚫︎日本文化を取り上げたシーンがあったり、主題歌がflumpoolという日本のバンドだったり(日本語詞!)と、日本リスペクトは嬉しくなくもないのですが、…内容のレベルまで日本ぽくしなくていいよ!


…ダメだ…。書かないでいようと思ったけど、やっぱりここは看過できない。

💢大人のラブストーリーに、“一目惚れ”とかあり得んだろ!!!そんなの高校生までにしとけよ!幼稚で見とれんわ!!!!

はい。すっきりしました☺︎
避難所からは以上です!!