Yuri

グリーンブックのYuriのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
5.0
歌手がバーで歌う冒頭から「あ。これは良い映画だな」とわかる安心のスタート。そこからペースアップしていくわけではないけれど、立場とか心情とか言い過ぎないところとか控えめにいって最高、これぞ映画という名作でした(^^) 序盤のドクター・シャーリーがバーで殴られてしまうシーンでもう「彼はなぜこの旅を出ようと思ったのか?」と考えるだけで泣きそうになったし、何度も警察に車を止められるシーンがあるのですが、今この瞬間も黒人の人が白人警官に「止まれ、降りろ」と言われる恐怖が「ああ、これか。」とまざまざと伝わってきて、世界は大きくは変わっていないのだなと苦しくなりました。シャーリーの頑ななほどの丁寧な物腰、気品ある態度は通じなそうに見えて彼の最大の武器で、シャーリーがその態度を貫いていたからこそ、トニーは彼に敬意を払うようになったし、育ちが出るじゃないけれど、その精神が周囲の人々を変えていったのだと感服しました。でも、お兄さんと何があったのかな?吹きさらしに立たされているような生活の中で、孤独な戦いを続けるのはキツイだろうなと鼻がツンとなる切なさもあって。孤独でも正しさを守るために戦い続ける強さを学んだし、そういう人たちに寄り添いたいなと勇気を貰える作品でした。
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