雨の坂道、真夜中の山道、どこに行っても驚くほどの長回し。
今なら私もできるんじゃないかと思うほど、ガスボンベ交換の手順をきっちり見せてもらった。
説明とセリフをぎりぎりまで削ぎ落とし、主人公の出口のなさと閉塞感の描写としては、この手法はまあまあ成功していると思う。結城貴史のやさぐれた面構えもグッド。
……なんだけど。
俺をどうにかする前に、セリフが聞き取れないのなんとかしてほしい。ザーザーぶりの雨の中とかラジオのかかってる車中とか、ただでさえ少ないセリフがぜんぜん聞こえなくて、ストレスかかりまくり。
任侠俳優・菅田俊なんて天龍レベルで聞き取れない。
そうなると渾身の長回しがただの自己満足に見えてしまう。
オボの噂の正体もいまひとつ活かされず、惜しい。
カメオなの?ってぐらい波岡一喜が一瞬だったのも残念。