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熱力学の法則のにものレビュー・感想・評価

熱力学の法則(2018年製作の映画)
4.5
感情的で法則性がない恋愛を熱力学で説明できないか、という、一度は考えたことがあるであろう考えを、検証可能か考える映画。熱力学はよく分からない。恋愛は惑星が太陽に引かれるように抗えないとはいうが、それは太陽と地球のように、1対のカップルの関係を述べるのに使われたこのフレーズが、1人の女性と多数の男性、というように太陽を中心に複数の惑星が回る、太陽系の例えとして話されるのは斬新だった。

4人がぶつかるシーンでは主人公の男性が無意識に美人の女性につられて進路を変え、普通ぶつからないだろういう状態でぶつかり転んだのは笑った。ライター持った2人目の男性もはて…??と去っていく。
光が回る薄暗いダンスホールの中での様子がとても幻想的で、主人公の「君は太陽だ」話を聞いて笑いながら辺りを見渡すと、女性を見つめる複数の男性の視線が周りを取り囲んでゆっくりと回っていて……それを見て2人が熱に当てられたように近づいていくのはとてもロマンチックだった。

恋愛を言葉で法則があるのだと、ある意味感情的で情熱的なことさえ言葉と式で表され再現可能である、と熱烈に説明しようとする主人公は、見方によっては、堅物で、心を大切にするという女性への感情的な理解がないように思われるけれど、一周回って女性への好意と相思相愛になった運命の喜びを言葉でなんとしてでも説明して揺るがない定義を得たい、名前をつけたいという、情熱故の科学話だったわけで、最後の結果は可哀想可愛く感じた。

チノ・ダリンが見たかった映画(もちろん最高に好きだった)だったけれど、この映画自体もとても好きだった。もっと有名になって欲しい。

閲覧注意は最後の5分間でした。
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