松井の天井直撃ホームラン

ジョーカーの松井の天井直撃ホームランのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
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↓のレビューは、以前のアカウントにて鑑賞直後に投稿したレビューになります。

☆☆☆☆

〝 T H E B E G I N N I N G 〟


観る前は『ダークナイト』が嫌いだっただけに、「寝ちゃうんじゃないかな…」と思っていたが。
いやいや、これはとんでもなかった!
その面白さから、終始画面に魅入ってしまった2時間だった。

観ていると。ある程度の映画好きならば、3本の映画を思い出すのではないだろうか。

☆『キング・オブ・コメディー』

言わずと知れた、デ・ニーロ&スコセッシの黄金コンビによる映画。
発表当時は失敗作のレッテルが貼られたものの、ジワジワとカルト映画としての人気が高まっている。
主人公のアーサーはコメディアン志望の男。そして彼の憧れるコメディアンが…。

☆『タクシードライバー』

デニーロ&スコセッシの大出世作品。
『キング・オブ…』ほどヒューチャーされてはいないが。暴力性を始めとする生理的な感覚は、こちらの方が大きく関わっているかも知れない。

映画の中で、同じ階に住む黒人女性が指を銃に見立て、銃弾をこめかみに放つ仕草をする。
『タクシードライバー』のラストシーン近くで。デニーロ演じるトラヴィスは。自分の指を銃に見立て、こめかみに放つ仕草をする。

また、デニーロのテレビショーを見ながら自分が出演するシュミレーションは。やはり『タクシー…』で。デニーロの狂気性を際立たせた、鏡に向かって独り言を言う名場面を思い出させ。細かく重箱の隅を突くと、黒人女性との関わり方は、アーサーの中で妄想と現実がせめぎ合い。
彼の心の中から強い暴力性を引き出す役割りとなるのは、やはり『タクシー…』でのトラヴィスの取った行動は。果たして妄想だったのか?…とのラストシーンへと通じる。

☆『レニー・ブルース』

伝説のスタンダップコメディアンを描いた作品。
アーサーはスタンダップコメディアン志望って事も大きいのだが。その破滅的な生涯こそ、アーサーの性格設定に於いて大事な部分だと思える。


後々に、荒廃によって犯罪の温床となってしまうゴッサムシティ。
『バットマン』とゆう、コミックから発生した架空都市ではあるものの。作品の奥底に潜む問題は、2019年の今現在既に進行しているとも言える。

経済優先によってもたらされる。富裕層と安い賃金で働かされ…ざるを得ない、低所得者との間に起きる歪。
『万引き家族』や、『存在のない子供たち』で間接的に描かれて来た。《経済優先から起こり得る格差社会》の問題と、子供への虐待問題は。社会が荒んでしまった事から派生しており。今現在増え続けている事への警鐘。

DC作品でありながらも、どこか1970年代に起こったムーブメントを連想され。近い将来に起こるべき可能性のリアル感は、観ていても凄かった。
そして、1つ付け加えると。(おそらく)この少年が後々の…とゆう、思わず思わせる辺りのワクワク感も同時に(´-ω-`)


最後に音楽ネタと名人芸を。

映画の中で、ジミー・デュランテの♬スマイル♬が使われていた。
ジミー・デュランテはボードヴィル出身のコメディアン。
鼻がデカイのが特徴的で、主にミュージカル映画で活躍。
映画『ジャンボ』ではサーカスのピエロ役で出演している。

♬Smile - Jimmy Durante

https://youtu.be/MX5mVBjZe6I?si=SCDZ9IO5xYQMxorC


そして、その映画『ジャンボ』でのジミー・デュランテの名人芸。

Jimmy The Clown - Jumbo 1962

https://youtu.be/P9t5057sH0U?si=oZJq2bXMGOvMzjsC


2019年10月7日 TOHOシネマズ錦糸町オリナス/スクリーン2