ベルサイユ製麺

まごころを両手にのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

まごころを両手に(2015年製作の映画)
3.2
“台北発メトロシリーズ”とは、台北のいろいろな街を舞台に制作された全7作からなる作品群の呼称です!
現代劇で、製作者や出演者は作品毎に違います。(出演者がかぶる事は有る。)ジャンルの方向性に厳密な規定はありません。劇場公開されるものと、テレビ放送されるものがあるみたいだけど、法則は不明。

今作は、自分的には3本目の鑑賞作ですが、発表の時系列的には5本目みたい。…見逃してしまったかな。
オープニングのポップな画面デザイン(こういうの台湾映画上手い!)とチンドングルーヴ感の有るテーマ曲からも一発でコメディである事が伝わってきます。そして画面に大写しになる原題見てビックリ!
“五星級魚干女”
散らかった部屋と、頭ボサボサのデカ眼鏡の女の子、ポテチをボリボリ…。どうやら魚干女って、ドラマとかで話題になった“干物女”の事みたいなのですよ!
彼女の名前はファンルー。両親はもう他界していて、ばあちゃんと暮らしている。
実家は温泉旅館。舞台の北投の街は温泉地として知られているみたいです。
基本のストーリーは…

骨折したばあちゃんの代わりに温泉旅館の女将代行をすることになったファンルー。働いてみて初めて判明、《うちの旅館、借金まみれでヤバイ》。そこへ、ニコニコしながら現れたバックパーカーのアメリカ人アレン。曰く、「無給でいいから暫く住ませてくだサーイ。」
即座にアレンの写真をSNSに挙げ、彼がイケメンでイケると確認したファンルー。彼を雇うをことにした。
ファンルーはある音楽家のファンで、彼の足跡を辿ってこの温泉地にやって来たと言う。
…ところで、二階にばあちゃんがなんか大事にしてるバイオリンがあるなぁ…。


って感じです。コメディタッチのラブストーリー。…で、先に気になることを書いてしまいますが、
ばあちゃんは日本語を話せます。
旅館は、印半纏や番傘、力士の巨大な絵などで飾られた日本風の温泉宿です。
音楽家の名前は山田智生。日本人です。
…なんだか、こんなに日本日本してると、“親日国”ってだけで片付けられない気がしてモヤモヤして来ます。…霧社事件の事を忘れちゃなんねぇ。

で、ファンルーとアレン、その他の従業員が、お客様を呼び込む為に奮闘する日常パートに、ばあちゃんとバイオリンの持ち主の過去が語られるパートが差し込まれながら展開していく感じです。…“愛は国境を超える”が、メインテーマかな?
ファンルー、ダラダラモードの時は原色バリバリのルーズな服に、ボサボサのパーマにデカ眼鏡(not大門)で、本来なら自分結構好きな感じのはずなんだけど…。本気モードのファンルーは、しっかりブローして外跳ね、メガネも外してコンシェルジュって感じの装い。…まあ、あんまり変わらないかな…?
申し訳ございせん!この娘の顔が苦手!!結構ここがキーになる映画なのに!!
アレンは、無邪気なヤングアメリカンです。可も不可も無し。…このくらいの思い入れなので、必然的にあんまり二人の行く末に興味が持てなかったなぁ…。
真面目なドラマの部分は悪くない感じです。ばあちゃんと山田の、もはや恋愛を超えた絆には結構グッと来たりも…。
でもね…、ちょっとダメなのは、コメディの要素なんですよ。あんまり面白いと思えない。感覚的には、中国と日本の大衆向けの笑いの良くない部分をミックスしたような感じで、テンポも良くないし、リアリティはどんどん下がっていくし…。だからコメディパート見てる時はやたらと映画が長く思えてしまったなぁ。笑いと映画の距離感ってホント難しいですね。…勿論台湾の人にとって面白ければ全く問題無しです。

北投の街は、如何にも山間の温泉地と言った感じで、建物はちょっと沖縄の古い建物を想起させるような雰囲気も有ります。良さそうなところだなぁ。秘宝館あるかなぁ。…そういえば入浴シーン全く無かったけど、何か規制とかあるのかな?

“メトロシリーズ”の中でも、一際軽快な作品だと思います。だからって「おススメ!」って事でも無いんですけど。作風がバラエティに富んでいるのは良い事だと思います☺︎


※ホントーに一部の人しかピンとこないと思うのですが、
ファンルーとアレンが「罰を与える!」とか言ってわちゃわちゃしてるシーン。
プープーテレビの“Good morning TOKYO”のやりとりそのままでした!デイリーポータルZファン必見!!punishment!!!