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ムルゲ 王朝の怪物のmatchypotterのレビュー・感想・評価

ムルゲ 王朝の怪物(2018年製作の映画)
3.4
『グエムル』『王宮の夜鬼』、そして、年末に観た『第7鉱区』。まだあった、韓国のモンスターパニック。
『ムルゲ』、そのまんま、“バケモノ”。

今作はモンスターパニックではあるけれど、宮廷の陰謀サスペンスが色濃くベースにある。

国を統治する宮廷にいざこざや摩擦、内部分裂がある。
民は“ムルゲ”に怯え、農作物も育てられず、市場も開けず、貧しく、飢える一方。

宮廷もその“ムルゲ”討伐に乗り出すものの、何やら後ろ暗い影があり、“ムルゲ”討伐は討伐すれば良いわけでもないと思う意志も働く。

そんな中、ムルゲ討伐に乗り出すことになったとある親子と子分。討伐にも手を焼くのに、そんな宮廷の陰謀にも巻き込まれる。

その親子をスカウトしに来た若い男の子、チェウシク。『新感染』『パラサイト』の彼。彼、こういう役、めちゃハマる。
優しくて、真っ当で、なんとかしたいんだけど、ツメが甘いというか、決め切らない男。
他の出演陣がかなり濃い顔ぶれなので彼の存在がとても和んだ。

そして、この女の子、ヘリっていうのか。小動物っぽい人懐っこい可愛さがあって素敵。何となく王道の韓国美女とちょっと違う感じが個人的には良かった。可愛い。

この作品は、モンスターにもやや悲しい背景を背負わせ、宮廷の政治的な横暴の産物として描き、そっちの陰謀やサスペンスを少し強めにしている。

だからか、モンパニとして観るとサスペンスが少し水を刺してくるように思えなくもなく、宮廷サスペンスとして観るとモンパニが水を刺してくるようにも思えなくもない。

なかなか両立は難しいのか。
『王宮の夜鬼』ほどガッツリ対決構造でもなく、色んな人物の色んな意図が錯綜するので、なかなかドラマが多い。

とはいえ、父親はテッパンのモンスターハンター的なキャラ。中国のキョンシー系の映画にも出てくる戦うおっさん道士みたいな冷静で臨機応変でなんやかんや手を貸す熟練的な雰囲気もあって個人的には好き。

そして、要所要所にコミカルなシーンもあり、押さえるところは押さえてある。そこはさすが韓国。

たまには、わかりやすさだけではないパニックも良いかもしれない。


F:1957
M:521
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