欲しいものは欲しいと云った方が勝ち
ーー「魔法のくすり」松任谷由実
地雷を踏みに行ったんだけど、思ったより考えさせられてしまいました。前半、中沢、飛鳥、山口のオカルト三銃士のプレゼンテーションは総じて失笑ものとしか言いようがないのですが（清田くんを久しぶりに見られた！）、後半、三銃士が語るオカルトと自分とのかかわりからは「好きで何が悪い！」という心の叫びが聞こえてきたのです。
3人ともオカルトを仕事にするにあたってはいささかの逡巡があったようで、それは「好き」を仕事にすることへのためらいというより「みんなから胡散臭いと思われているオカルトを、男子一生の仕事にできるのか？ いやでも、やりたいんだからやるんだ。おれは、おれの愛するオカルトに対する世間様からの正当な評価が欲しいんだ」というアンビバレンツな感情を、感じてしまいました。
人がなんと言おうと、欲しいものは欲しいと言い切ったのはカッコいいのですが、自分が登場したこの映画の前半の茶番が、すでにオカルトの価値を毀損しているという切なさ（そんなところすら愛しているのでしょうが）。
客電が点いたら、映画の中で「心から信じてほしいとは思ってないかもしれない」というようなことを言っていた中沢さんが、いつもの格好で座っていました。中沢さんは、劇場に展示されていたユリ・ゲラーのスプーンを写真に撮ると、飄々と去って行かれました。その背中は、幸せそうに見えました。
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