いずぼぺ

ジェネレーション・ウェルスのいずぼぺのレビュー・感想・評価

3.7
1980年代から1990年代にかけて時代は大きく変わった。
25年にわたる写真家グリーンフィールドの研究をまとめたドキュメンタリー。
生産する国から、消費する国へ。現実と夢の境界線があやふやになってしまって、メディアからあふれ出してくる消費と欲望の情報はポルノのごとく市民の欲求を煽ってくる。文化のポルノ化という表現もあった。次から次へと垂れ流されてくる刺激的な情報はグローバル化によって世界中にも発信されていく。文化ポルノのグローバル化だ。「流行っているから」「最先端」「注目の的」、もはや自らがもつ固有の文化やその背景などわからなくなってしまう。
資本主義の成熟から退廃へ。狂乱の時代は長く続かない。富を得ているつもりが、多くのものを失っていたことに気づく。
「金で買えないものはあるんだ!」

人は全てを失うと自らのルーツに立ち帰るらしい。土地、家族、習慣、友人。それぞれ固有の文化へと。失ってはじめてその価値がわかる。
手放してはじめて、その虚像が虚しいものであったかがわかる。

成功とはなにか。
富とはなにか。
財産とは何か。
全てが失われたとき、手の平になにが残っているか。
本当にすべきことはなんだったのか。
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