垂直落下式サミング

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇りの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

4.5
世の中には二種類の人間がいる。20面体ダイスを持っているやつと、そうでないやつだ。一般的にダイス(サイコロ)と言えば、通常はそれぞれの面に1から6までの数が刻まれた六面体のことを言う。すごろくとか人生ゲームで使うのはこれだ。
正二十面体の20面ダイス(d20)は、ごく一般的な雑貨店では売られていない。お天道様の下を歩いていらっしゃる皆さまは、こんなオブジェクトなかなかお目にかかる機会がないかもしれないが、オタクにとっては必須アイテム。
ダンジョンズ&ドラゴンズやマジックザギャザリングなど、テーブルトップゲームでは、賽の目を振ったりライフを記録するために用いるから、TRPGの本場アメリカではナードを象徴する陰キャアイテムとして認知されていたりする。
君は、D&Dを知っているか?映画の冒頭、監獄に収監された主人公が、恩赦を得るために嘘を織り混ぜた身の上話をする場面。ここ、わかってんなって感じ。ゲームの前に、プレイヤーがみずから自分のキャラクターを設定していく楽しさと重なるから、ほんとに大好き。
ワクワクするごっこ遊び感と、ほんわかした内輪ノリの雰囲気がそのまんま映像になってる。ルールも仲間も対戦相手も、ぜんぶコンピューターに丸投げしたピコピコゲームでは味わえないアナログのいいところ。ダンジョン探索においても、全能感と理不尽さが同居する不思議な感じが、よくあらわされていた。
ポスターデザインがちゃんとバカなのがいいよな。中央のクリス・パインの表情が、絶妙に客を舐めてて最高。
でぶちんドラゴンもかわいかったなあ。売店でフィギュアが売られていたけど、それは痩せちゃってて残念。ライザップ後はいらない。
テーブルトークRPGへの愛に溢れた作品に仕上がっている。何年かに一本のペースで、間隔をあけて公開されるノリのいいアドベンチャー作品だった。