平野レミゼラブル

エスケープ・ルームの平野レミゼラブルのレビュー・感想・評価

エスケープ・ルーム(2019年製作の映画)
2.2
令和も2年になったのに、凄まじくオーソドックスな脱出型デスゲーム映画である。
どれくらいオーソドックスかと言うと、頭の良い女の子が謎を解いていって、命の危機にあっても「凄い臨場感だなァ~」と状況を受け入れないナードがいたり、他人を出し抜いてでも俺は助かると自分勝手な行動をするエリートがいたりする。
……時代は令和ですよね?

でもアメリカ本国で上映されたのは2019年1月である。つまり平成の映画。な~んだ、じゃあ安心だね!!

ア メ リ カ に 年 号 は ね ェ


……時代を抜きにしても『SAW』やら『ハンガー・ゲーム』といったデスゲームシリーズがナンバリングを重ねる中でこれなのでビックリする。かつてマガジンでやたらデスゲーム漫画が連載されまくっていてデスゲーム蠱毒と化していた時期があったが、それと同じことが起きたのだろうか?
いや、それにしたって「脱出ゲームに呼ばれた6人の男女が謎を解きながら脱出を目指す」なんてテンプレのままお出しする本作の企画が通ったのは割と不思議だ。特に難解な謎解きや残虐なシーン、意外な展開というのも皆無なのでマジで本作、一切のフックがない。

一切のフックがないのは本作の致命的な弱点であり、例えばゲーム参加者には全員「唯一の生存者」という共通点があるのだが、それが活かされることは特にない。ただゲームに失敗したら死ぬ。それに過去が絡んだり、ドラマが展開することは全くない。そこはあまりに味気なく本当に勿体無い。

各部屋のビジュアルはそこそこ凝ってはいるものの、肝心のゲームの難易度が低く、そして結構フィジカルで解決するものが多い。また割となし崩しに攻略できるのでやっぱり印象が薄い。そんなに危機か?って感じに緊迫感がないのもイマイチノリ切れない部分である。

総じて既視感しかないキャラ、展開、ゲームのため割と存在意義が謎な映画だ。しかしアメリカではスマッシュヒットを記録し、今年末には続編も公開されるという。
思うにこれは『SAW』や『ハンガー・ゲーム』といったデスゲーム映画公開時にレーティングの都合で観ることができなかった層に向けた映画ではないだろうか。そう考えると、特に残虐なシーン等がないのも納得である。間口を広げたかったのだ。ということはやっぱりこの映画は新世代の映画、令和の映画と言えるのではないだろうか。




だからアメリカに年号はねェ!!