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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのaktmoviesのレビュー・感想・評価

4.8
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』(2023)
原題:Killers of the Flower Moon
監督:マーティン・スコセッシ

原作であるノンフィクションを読み、準備万全で鑑賞。

原作同様オセージ族を中心に置きながらも、原作の持つミステリー要素を排除し、極々平凡な一脇役に過ぎなかったアーネストを主人公に据えるという大工事。それが見事に成功している。
ただのミステリー作品では終わらせないというスコセッシの気概が感じられる年間ベスト級の作品で深く感銘を受けた。

スコセッシ×デ・ニーロお得意のギャング映画でもあるとともに、ホラーのような感覚を常に纏わせていて、いやでも緊張感・緊迫感が持続するので、206分を観終わった後には疲労困憊になっていた。

何も分からず、不満を抱える子供のように口をへの字にしながらただただボスに付き従うディカプリオが情けなくも不憫でならないし、この作品を観ている我々の多くが彼と同じような立ち位置なんだろうなと思うと切なくもある。

原作にはないラジオドラマのシーンとラストカット。
この大事件をもプロパガンダに利用したJ・エドガーや白人たちに対するスコセッシなりの大いなる皮肉と、それでも逞しく生きているオセージ族との対比がこの作品のメッセージとなって頭から離れなかった。
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