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キングスマン:ファースト・エージェントのkuuのレビュー・感想・評価

3.8
『キングスマン ファースト・エージェント』
原題 The King's Man 映倫区分 PG12
製作年 2021年。上映時間 131分。
スタイリッシュな英国紳士が過激なアクションを繰り広げる人気スパイアクション『キングスマン』シリーズの3作目。
第1次世界大戦を背景に、世界最強のスパイ組織『キングスマン』誕生の秘話を描く。
表向きは高級紳士服テーラーだが実は世界最強のスパイ組織という『キングスマン』。
国家に属さない秘密結社である彼らの最初の任務は、世界大戦を終わらせることだった。
英国の名優レイフ・ファインズがオックスフォード公、新鋭ハリス・ディキンソンが息子のコンラッドを演じた。
彼らの前に立ちふさがる敵でもある怪僧ラスプーチンには個性派俳優のリス・エバンスが扮した。
監督、脚本、製作はシリーズ全作を手がけるマシュー・ボーン。

1914年、世界大戦を裏でひそかに操る闇の組織に対し、英国貴族のオックスフォード公と息子のコンラッドが立ち向かう。
人類破滅へのカウントダウンが迫るなか、彼らは仲間たちとともに闇の組織を打倒し、戦争を止めるために奔走する。

今作品は、前2作とは全く違う。
シリーズにとって大きな軸となる作品で、プリクエル(前日譚)かな。
シリーズで最高の映画だとか云うつもりはない欠点もあるし、それでも個人的には善き映画やと思った。
『キングスマン』に期待される様式美の要素はすべて備えているが、その定型にいくつかのひねりが加えられていて驚きでした。
あまり期待せず、予告編とかで予測してたつもりやったけど、思ったより沢山のことを用意してくれているのがわかって楽しめた。
今作品は、前作『キングスマン』シリーズよりもシリアスで、他の作品とはトーンが違う。
古典的なリアルさでエネルギッシュなスタイル、前日譚とは云えアクションは健在やし、実際の歴史的要素が多く含まれていた。
『キングスマン』シリーズをどちらが先にしろ観てみるのもよし、個人的には、ヴォーン監督の『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』と比較もできるやろと思うし併せて楽しんでほしいかな。
個人的にはマシュー・ボーン監督は歴史的要素をどのように扱っているかが好きだです。
タランティーノが『イングロリアス・バスターズ』でやったのと同じような扱い方をしている。
こないな斜め見の歴史は子供の頃からすきで、楽しくなり、いくつかのことを学んだ。
マシュー・ボーン監督が使う事件や人物の多くは現実にあったものやけど、彼はそれをよりエンタメになるように捻じ曲げている。
その辺りが苦手な方もおいでだとは思うが、多くの歴史的要素が登場することに驚き、この、キングスマン風の別バージョンの歴史を大いに楽しめた。
マシュー・ボーン監督は、使い古されたアイデアをただ今作品に彼なりの解釈で盛り込もうとしているように感じた。  
ストーリーはどこまでも進んでいくが、途中まではその理由がよくわからなかった。
それぞれのシーンは面白かったが、1時間位までは少しまとまりがなかったのは否めない。
でも、全体的にはストーリーをとても楽しめたし、ハリー・ハートとゲイリー・“エグジー”・アンウィンじゃなくても、今作品が焦点を当ててるしているキャラが個人的には好きだ。
トワイスルトン・ウィーカム・ファインズ家の人間であり、準男爵位を継承してきた一族の末裔であるラルフ・ファインズの演技は巧みやったし、『キングスマン』の主役として完璧であることに加え、感情表現も豊かやった。
彼はとても才能のある俳優で、脚本が常に彼に最高の素材を与えるとは限らないが、彼は常にそれを高めている。
彼はまさにこないな役完全に嵌まってるし、紳士役の現役では善き俳優のひとりかな。
オックスフォードとコンラッド、そして彼らの関係(父と息子)に関して起こったひねりはよかいだた。
ハリーとエグジー、あるいは一般的な師弟関係を巧みに逆手に取ったものやと思ったし、オックスフォードの感情的なアークは深かった。
このひねりは、映画全体の反戦メッセージにもうまく作用していたかな。
そして、『キングスマン』には、激しく派手なアクションが欠かせない。
もちろん今作品にも沢山詰まっていて、特にラスプーチンとの戦いがよかった。
スリリングで、エキサイティングな瞬間がたくさんあり、振り付けも悪くなく、ラスプーチンの戦い方を通してラスプーチンちゅう曲のダンスを取り入れたのも良かった。
楽しくもあり、少々残酷で、ピョートル・チャイコフスキー序曲『1812年』のビートととてもマッチしていた。
このシークエンスだけで圧倒されたが、すべてのアクションセットがとてもよく、生き生きとした創造的で贅沢な方法で撮影されていた。
古典的なロケ地を見るのは楽しいし、ここでの"ある失敗"が、後の『キングスマン』の物語で使われる道具の誕生につながったのも気に入った。
ユニークな前日譚で、独立していてとても楽しいし、歴史的な要素や、今作品が用意していたサプライズがよかった。
前作に比べ万人向けではないかもしれないし、すべての『キングスマン』ファンがこの作品を気に入るとは思わないけど、個人的には大変たのしめました。
『キングスマン3』やハリーとエグジーの物語の続きが待ち遠しいと同時に、今作品の続編もぜひ見てみたい。

余談ですが、前線に向かったコンラッドは、父への手紙(詩)を送るシーンはポエムを効果的に添えてたし心に残ったので、詩のアレコレを添えときます。
その詩は、第一次世界大戦中で亡くなったイギリスの詩人ウィルフレッド・オーウェンが書いた実在の詩『DULCE ET DECORUM EST』で、ラテン語のタイトルは、ローマの詩人ホラティウスが書いた詩『Dulce et Decorum est pro patria mori』(国のために死ぬことは美しく名誉である)から来ています。

   『DULCE ET DECORUM EST』
        ウィルフレッド・オーウェン
Bent double, like old beggars under sacks
Knock-kneed, coughing like hags, we cursed through sludge,
Till on the haunting flares we turned our backs,
And towards our distant rest began to trudge.
Men marched asleep. Many had lost their boots,
But limped on, blood-shod. All went lame, all blind;
Drunk with fatigue; deaf even to the hoots
Of gas-shells dropping softly behind.

Gas! GAS! Quick, boys!—An ecstasy of fumbling
Fitting the clumsy helmets just in time,
But someone still was yelling out and stumbling
And flound’ring like a man in fire or lime


Dim through the misty panes and thick green light,
As under a green sea, I saw him drowning.

In all my dreams before my helpless sight
He plunges at me, guttering, choking, drowning.

If in some smothering dreams, you too could pace
Behind the wagon that we flung him in,
And watch the white eyes writhing in his face,
His hanging face, like a devil's sick of sin,
If you could hear, at every jolt, the blood
Come gargling from the froth-corrupted lungs,
Obscene as cancer,
Bitter[note 1] as the cud
Of vile, incurable sores on innocent tongues,–
My friend, you would not tell with such high zest
To children ardent for some desperate glory,
The old Lie: Dulce et decorum est
Pro patria mori.
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