クロエ・ジャオ監督作品は『エターナルズ』しか観てませんでしたが、この作品もめっちゃクロエ・ジャオって感じでした。
とにかく出てくる登場人物のあまりのリアリティっぷり驚いていたら、物語として描かれてる実際の出来事を実際の人達に演じてもらっているという事を後から知り、納得すると同時にすごい事をやるなと思いました。
ロデオの最中の事故で頭に大怪我を負ったカウボーイが、ボロボロになりながらももう一度ロデオに挑戦するという、ぱっと見熱くて力強い作品になりそうなものですが、最後にこちらの想像とは違った「本当の強さとは」みたいなものに辿り着いてそれが沁みました。
あの親子3人は全員お互いに必要な唯一無にの大切な関係なのが伝わってきます、それを蔑ろにした強さはただのエゴになってしまいます。
もちろん強さに決まりはないので今作で提示されるものも強さの1つでしかないと個人的には思いますが、しかし今作はの場合はその“強さ”に実際に救われた本人達が演じてるので、胸を打たれます。
同じようなやり方で作られたイーストウッド監督の『15時17分、パリ行き』を思い出しましたが、またそれともちょっと感触が違うんですよね。
描いているテーマが違うので。
そこも監督の違いで面白かったですね。
今作はクロエ・ジャオ監督だから描けた“強さ”だと思います。
一見すごくミニマムな話を描いているのに、そこにはアメリカという国の何かが確実に浮かび上がってくるような射程の広さを兼ね備えた傑作だったと思います。