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報復の街をあとに~ペドロ12歳の旅立ち~のkazataのレビュー・感想・評価

3.0
少年犯罪モノが大好き人間として『望み』を見ても(予想通りだったとは言え…)邦画に対する絶望感しか望めなかったので……ずっと見たかったベネズエラ製少年犯罪映画をウォッチ!

ベネズエラのむちゃくちゃ治安の悪い貧困地区に住む12歳のペドロ少年が、子ども同士のいざこざの果てに相手少年を殺傷する事件を犯しちゃうんだけども、刺した相手が超絶ヤバい地区出身の子だったからリベンジを恐れて街を逃げ出して……という物語。
(こんなどマイナーな作品を配信してくれたU-NEXTには感謝ですが…ストーリー欄に思いっきり「ナイフで刺され」と書かれているけど、ナイフなんか持ち歩いてないペドロくんは"拾った瓶を割ってグサっ!!"だから)

「貧しくて暴力が蔓延する超劣悪な環境下で育つと自ずと暴力的な思考に染まってしまう」(=弱さを隠すためのマッチョイズム)ってことと「思春期特有の反抗心」が組み合わさった設定はグッドだし、キャストの抑制的な演技や表情もいいし、ドキュメンタリー的な映像&編集も無駄なく的確で良き!なんだけども……映画的な興奮と言うか面白さが圧倒的に足りない、気がする。
(ダルデンヌ兄弟作品や『チャンブラにて』と似ていながら本作には決定的に足りない部分があって、言語化するのが難しいんだけどもその不足した部分にこそ映画的な醍醐味や感動が詰まっている気がして…)

(例えば、序盤の"団地内パーティーシーン"と後半の"セレブ家のパーティーシーン"が対になって然るべきはずなのに、全くフリ&オチとして機能していないからもったいない!)


(以下、結末に触れますが、ぶっちゃけそこから何を読み取るかは観客に委ねられている系作品なんで「だから何?」って程度のことかもしれません↓)


現状だと、"厳しい現実を認識したペドロの絶望感と孤独感"だけが伝わってくるワンショットのラストカット(明け方)なんだけども……そのカットの後に(現状ラスト前で描かれている)"父と息子の共同作業=家作りシーン"(日中)を持ってくる方が、将来的な「父子間の絆の修復」とか「ペドロの再生」とか「明日への希望」みたいなメッセージが伝わるんじゃないかな。
(ダルデンヌ兄弟作『息子のまなざし』パターン…)
(今のままなら「父子間の絆の修復をすると思いきや結局ペドロは未だに絶望&孤独の中にいる…」ように受け取れてしまうんですが)
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